また、コルチゾールは成長ホルモンの分泌を妨げる作用もあります。成長ホルモンは脂肪を分解する役目があるホルモンです。つまり、ストレスを抱えている人はコルチゾールが多く分泌されて、脂肪分解ホルモンのレベルが下がってしまう、結果的にやせにくい。

 この状態の人への対処は、ダイエット指導においても難しくなります。ストレス源を正確に捉えて、回避できる方法を考えてみるなり、ストレス源に対する思考を変えていかなければなりません。例えば仕事でストレスが強い人は、転職することで人生が豊かになる可能性も高いですし、業務の頑張るところ・頑張らないところを明確に決めてしまうのもいいでしょう。僕の基本姿勢は、「ストレスとは戦わない、逃げろ!」です。

 また、別のアプローチとしては“やせるためのダイエット”をやめるということも検討してください。ここで言う“やせるためのダイエット”とは、健康的な食生活や運動習慣よりも、体重を落とすことを優先したダイエット(=減量)のことです。例えば、強いストレス源があるならば、そのストレスと距離を取れるまでは無理にやせようとしない。やせるための状況を整えてからダイエットに手を出すというのも賢い選択だと思います。

 いかがでしたか? 今回は、やせにくい人の特徴三つとそれぞれの解決策をお伝えしました。思い当たる部分があれば、今後のダイエットに少し変化を加えてみてはいかがでしょうか? 僕はジムでの指導で常々、「ダイエット」と「減量」を分けて考えるように伝えています。ある目標に向けて体重を落とすことを優先する「減量」に対し、僕の言う「ダイエット」は、健康的な食生活と運動習慣を続けることで、心身ともに健康な状態を目指すことを指しています。ダイエットは頑張らないといけないことなのかどうか、一度立ち止まって考えてみることもオススメします。

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計太

計太

計太(けいた)/1989年、奈良県生まれ。大阪教育大学スポーツ科卒、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修了。専門は運動生理学。東京を中心にパーソナルトレーニングジム「ボクノジム」(https://bokuno-corporation.com/)を経営。論文の科学的データに自身の経験を組み合わせ、インスタグラムやツイッターなどで理論的かつ実践的なダイエットやトレーニングに関する情報を発信中。“2か月後の減量よりも1年後の健康”をテーマにしたYouTubeチャンネルは登録者11万人(2022年1月現在)と人気を集める。また、公式LINE(https://lin.ee/VJIfdbB)ではダイエットに役立つ情報や動画を無料配信中。

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