三森さんが問答ゲームで特に注意を払うのは、答える際に「僕」や「私」といった主語をつけること。原則として主語が入る英語での発信を見据えているからだ。

 家庭でできる言語技術の学びはほかにもある。三つの単語から文章を生み出す「一文づくり」や絵を詳しく説明する「描写レッスン」、物語を二度聞き、自分の言葉であらためて構成する「再話」。いずれも察しの悪い大人の存在が、子どもの思考力や表現力を伸ばす。

 英語の「聞く」「話す」といった技能は、「いずれ人工知能を含む最新技術が補ってくれる可能性がある」と三森さん。だが、思考そのものは機械には任せられない。

「母語の日本語による論理的で分析的な考え方、それが世界で活躍するための絶対条件です」

三森ゆりか(さんもり・ゆりか)
つくば言語技術教育研究所所長。高校卒業までをドイツで過ごし、「言語技術」の教育にふれる。現在は、森村学園の初等部と中等部、慶應義塾横浜初等部などで指導。日本オリンピック委員会や日本サッカー協会での指導など、アスリートの言語発信にも関わる。

(文/菅野浩二)

※『AERA English特別号 英語に強くなる小学校選び2021』より

【AERA English特別号】英語に強くなる小学校選び 2021 (AERAムック)

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菅野浩二
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