■「察しの悪い大人」が思考や表現の力を育む

 思考や表現の定型を身につける言語技術は、親子でも習得可能だ。「察しの悪い大人になりましょう」と三森さん。「いつ(When)」「どこで(Where)」「誰が(Who)」「何を(What)」「なぜ(Why)」「どのように(How)」という具体性を示す5W1Hの深掘りが考える力をつくっていく。

「絵本の読み聞かせでも、『この子が遊んでいるのはどこ?』『なぜ悲しいと感じていると思ったの?』とあえて質問しましょう。5W1Hの追求が脳を活性化します」

 こうした問いかけをすると、子どもは「滑り台があるから公園だと思う」「悲しそうな顔をしているから」と、絵から“証拠”を探す。証拠探しは議論や論理的思考に不可欠な理由や論拠を意識する習慣を養う。また、事実に基づく推察や解釈は、分析的で客観的なクリティカルシンキングの力を育む。

■「問答ゲーム」で言語技術の軸をつくる

 言語技術の軸をつくる第一歩として、三森さんは「問答ゲーム」を使う。最初に「はい」「いいえ」では答えられない質問で結論を導き、理由や説明を尋ね、その答えに質問を重ねる対話型の遊びだ。

「例えば、質問に対し『好き』という結論を初めに答え、相手に見通しを与えたあとに理由、そして最後に主張をまとめる。この流れは小論文などに応用できます」

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