打っても4番を任されており、力強いスイングが目立つ。攻守ともにまだまだ粗さはあり、プレーが雑になるところがあるのは課題だが、単純な投げる力、バットを振る力に関してはかなり高いレベルにあることは間違いない。プロでみっちり鍛えれば、甲斐拓也(ソフトバンク)のように大化けする可能性も十分にあるだろう。

 足の一芸名人として推したいのが奥野翔琉(明徳義塾)だ。昨年夏の甲子園では5番打者として出場していたが、新チームからはトップバッターに定着。秋の明治神宮大会ではドラフト1位候補の高橋宏斗(中京大中京)からもツーベースを放っている。とにかくトップスピードになるまでが速く、4.0秒を切ればかなりの俊足と言われる一塁までの到達タイムでは3.7秒台をマークする。8月に行われた甲子園交流試合でも2つの盗塁を決めてその足をアピールした。打撃はまだ力強さが物足りないがミート力はあるだけに、パワーがつけば面白い存在になりそうだ。

 大学生では佐藤蓮(上武大)、奈良木陸(筑波大)の二人の投手を推したい。佐藤は高校時代から大器と評判だったが、故障続きで昨年までリーグ戦での登板はゼロ。しかし自粛期間中にしっかりとコンディションを整えて最終学年で見事な成長を果たし、この夏のオープン戦では最速155キロをマークしている。秋のリーグ戦でもここまで3試合、3回の登板だが全試合で150キロ以上のスピードを叩き出し、被安打1、無四死球、5奪三振と上々の結果を残している。変化球で腕が振れず、コントロールもまだアバウトなところもあるが、ストレートの勢いは大学球界でも間違いなくトップクラスだ。奈良木も佐藤ほどではないものの、チームに好投手が多いこともあってリーグ戦での登板機会は多くないが、年々着実にスケールアップを果たしてきた。特に目立つのがフォームの良さだ。ゆったりと左足を上げて軸足に体重を乗せ、そこからスムーズにステップして下半身主導で投げることができている。佐藤と比べてもフォームのバランスが良く、秋季リーグの開幕戦では最速151キロもマークしている。

次のページ
強豪高校出身ではないので“伸びしろ”は大きい?