児童育成手当は東京都で実施している制度ですが、別の名称で似たような保障を提供していることもあるので(たとえば「愛知県遺児手当」など)、自治体の担当窓口に問い合わせるかホームページなどでの確認をおすすめします。

●児童扶養手当の支給額(2020年4月現在)

・児童1人の場合
全部支給       4万3160円(所得制限額未満)
一部支給      4万3150円~1万180円(所得により10円単位で変動)

・児童2人目の加算額
全部支給       1万190円(所得制限額未満)
一部支給       1万180円~5100円(所得により10円単位で変動)

・児童3人目以降の加算額(1人につき)
全部支給       6110円
一部支給       6100円~3060円(所得により10円単位で変動)

※いずれも月額。児童扶養手当の額は物価スライド制を採用しているので、物価の変動などに応じて毎年額が改定されます。

●児童育成手当の支給額(東京都)

・育成手当      1万3500円
・障害手当      1万5500円

※いずれも子ども1人につきの月額

 二つの保障とも収入制限があります。児童育成手当は受け取る人のみの所得制限で、児童扶養手当より限度額が高く設定されています。児童扶養手当と児童育成手当は、所得制限にかからなければ両方とも受け取ることができます。

 児童扶養手当、児童育成手当の所得制限を表にまとめました。児童扶養手当の場合は、受け取る人のほか同居する扶養義務者(受け取る人と会計を同じくしている親・兄弟など)にも所得制限があります。

 また新型コロナウイルスの影響を受け、ひとり親家庭に向けて「ひとり親世帯臨時特別給付金」の支給が決定されました。1世帯あたり5万円、第2子以降1人につき3万円加算という内容で、令和2年6月分の児童扶養手当を受けている人は申請が不要です。

 収入の制限や遺族年金などの受給者でいままで児童扶養手当を受け取っていなかった人でも、所得制限以下となった場合は新たに申請することで受け取ることができます。

 子育て支援については、自治体ごとに医療費の保障や家賃の一部支援などを実施している場合があるので、見落としがないか自治体の子育て支援窓口に確認することを強くおすすめします。

 生活を安定させる社会保障は数多くあります。次回も損をしないための社会保障の基礎知識について、引き続き解説したいと思います。

※本連載シリーズは、手続き内容をわかりやすくお伝えするため、ポイントを絞り編集しています。一部説明を簡略化している点についてはご了承ください。また、2020年9月18日時点での内容となっています。

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小泉正典

小泉正典

小泉正典(こいずみ・まさのり)/特定社会保険労務士。1971年、栃木県生まれ。明星大学人文学部経済学科卒。社会保険労務士小泉事務所代表、一般社団法人SRアップ21理事長・東京会会長。専門分野は、労働・社会保険制度全般および社員がイキイキと働きやすい職場づくりコンサルティング。『社会保障一覧表』(アントレックス)シリーズは累計55万部のベストセラー

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