小説を純粋に「楽しめなくなった」と嘆く30歳女性に「理想が高すぎる」と鴻上尚史が指摘した真意

鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい『世間』を楽に生きる処方箋

読書

2020/09/22 16:00

【鴻上さんの答え】
 頭痛もちさん。いや、困ったペンネームですね。繰り返すと、どんどん頭が痛くなってきそうで困ります。

 ですから、頭痛をとって、もちさんと呼びますね。

 もちさんの悩みは、じつは、創作を志す人間がほぼ例外なくぶち当たる、普遍的な悩みだと僕は思います。

 創作へのスタートは、「読書が大好き」ですね。

 熱心な読者は、読書を続けるうちに二つに分かれます。

 読者であり続けることに幸せを感じる人間と、自分も書いてみたいと思う人間です。

 それは、どれぐらい好きかとは関係ないでしょう。

 サッカーが大好きでずっと見ていたいと思う人と、大好きだから自分でもやってみたいと思う人の違いは、「自分にできると思う」かどうかでしょう。

 どんなに一流のプロリーグに憧れても、自分にできると思えなければ、始められません。そう思えるかどうかは、試合やテストなどで現実が教えてくれるでしょう。

 自分にできると思えなければ、次に考えるのはそもそも「やることが好き」かどうかです。

 もし、「やることが好き」という思いが強ければ、プロリーグは無理でも、例えばアマチュアの草サッカーを選ぶでしょう。

 でも、人によっては、プロリーグの夢が破れたことで、サッカーそのものと縁を切ろうとする人もいるかもしれません。自分が納得できない形でサッカーとは関わりたくない、という人達です。

 サッカーを拒否する気持ちとサッカーが好きだという気持ちを天秤にかけて、どっちを選ぶか、ということです。

 もちさんは、「他の人にできることが自分にはできない」と書きますが、どれぐらいの人を「他の人」だと想定していますか?

 文章を読んでいると、もちさんは作品への肥えた目を持っているので、プロリーグの人達と自分を比較しているんじゃないかと感じます。

 とすれば、プロリーグの人達の作品と比較して、アマチュアであるもちさんが、落ち込んだり、創作が嫌になるのは当然のことです。

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「理想が高すぎます」

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