「幼児教室以外、習い事はピアノのみでした」と言うのは二宮さん。「詰め込みすぎのスケジュールは負担が大きく、親子で向き合う時間も少なくなるので、ゆったりと受験対策に集中できる時間を持つようにしました」と語る。

■第一印象は願書で決まる?

 コロナ禍で重要度が高まりそうなのが「願書」だ。これまでの経験を生かし、幼児教室で願書の添削を手がけている二宮さんによると、「このご家庭は絶対に合格すると確信できるような願書は、50件以上チェックしても1件あるかないか」。学校側の目に留まるようなキラリと光る願書を書くにはどうすればいいのだろうか。

「受かる願書の書き方」といったマニュアル本も多数あるが、久野さんは「対策本を読んでどうしようか悩むくらいなら、最初から読まないほうがいい」とアドバイス。

「美辞麗句を連ねて整った文章を書くより、拙くても実感のこもった自分の言葉で書くほうが重要です。そのご家庭で実際に体験したことや家庭で大事にしていることを、できるだけ具体的に書く。それが志望校の教育方針とどうマッチしているか、明確に打ち出すことが肝心です」(久野さん)

 野倉さんも「願書はオリジナリティーが大事」と同意する。

「直前になって慌てないよう、夏ごろから志望理由などの下書きを始めるといいでしょう」

「志望校にもよりますが、家庭での教育を伝える際は、『親がどうサポートをしているか』が重要です」と言うのは二宮さん。

「たとえば『何か疑問に感じたことを解決するまで追求する』という教育方針だとしましょう。太陽光でたまたま家の中に虹ができたのを見て、子どもがなぜだろう? と不思議に思ったなら、光の屈折について一緒に図書館で調べてみる、どういう条件ならできるのか繰り返し実験してみる……普段の教育がよく伝わりますよね」

 誰もが書くような習い事での努力や成長をアピールするよりも、「親が子どもにどのように向き合っているのか、その家庭ならではの個性が感じられるエピソード」が盛り込まれた願書が目を引くという。

■紺は〇 黒は×? 面接服にルールはある?

 面接日などに着用する「お受験スーツ」。母親は紺色、父親は紺かグレーが定番だというが、やはり黒を着るのはやめたほうがいい? 

「普段のお稽古や説明会では黒でも問題ありませんが、試験や面接では暗い印象を与えるので、避けたほうが無難。子どもの受験服は、本人の顔に映えるカラーを選んでいいと思います」と二宮さん。

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