さらに、今回のコロナ禍で注目を浴びたのは、私立小の先進的なICT教育だ。休校が長引いて各校が対応に苦慮する中、いち早くオンラインで授業を再開した小学校も。

「例えば宝仙学園小では、4月中旬にはオンラインで授業を再開していたようです。コロナ禍以前から、学校共有のタブレットや授業支援アプリ『Meta MoJi Class Room』を導入していたことが奏功したのでは。親同士が似た価値観であるため、私立小は校内改革にスピード感があります」(野倉さん)

 小学校受験の対策に変化はあるのだろうか。大手幼児教室「こぐま会」の代表、久野泰可さんは、「学力試験では、早く、正確に解くのを是とする時代を経て、最近は、子ども自身の『考える力』を問う問題が出題される傾向がある」という。新型コロナウイルス感染症の状況によっては、入試の形態が変わる可能性もある。

「近年重視されている行動観察が、感染予防の観点からこれまでのように実施できないかもしれないため、面接重視の学校が増えるでしょう。『家庭での自粛生活を通して得た気づき』などがテーマとなるかもしれません」(久野さん)。

 入試日程にも変化がみられる。全国一の受験者数を誇る筑波大学附属小学校は今年8月、例年12月に行われていた入試の日程を、約1カ月前倒しすることを発表した。「引き続き、各校の動きを注視する必要があるでしょう」(久野さん)

■受かる子どもの共通点とは?

 複数の難関校に合格する子どもがいる一方で、なかなか結果が出ないことも。「合格する子ども」には、なにか共通点があるのだろうか。

 久野さんは、「子どもの性格や学力以上に小学校受験で見られるのは、総合的な“家庭教育の質”です」とキッパリ。

「一般論としては『自分で考えて、判断して、行動できる』自立したお子さんが有利と言えます。しかし、受験で見られているのはどんな子育てをしてきたのか、ご家庭の考えが学校の教育方針にマッチしているのか、という点。多様性を考え、学校側もさまざまなタイプを求めています。『受かるタイプ』をめざしお子さんの個性を曲げるのではなく、ありのままの長所を伸ばしてあげましょう」(久野さん)

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