■すきま時間に実践できる程度の運動で

 更年期リスクを軽減するために、効果があるのは運動の習慣だといいます。しかし、忙しい生活の中で、運動を続けるのは難しいもの。運動が苦手な人もいるでしょう。

「人生後半への上手なシフトチェンジのためには、運動を習慣づけることが重要です。私は以前からピラティスのインストラクターや、産後ママたちの健康をサポートするフィットネスインストラクターとしても活動していて、更年期症状を持つ女性の方々にも運動指導をしてきました。そして、わかったことは、運動習慣のある女性は更年期の症状が軽いことが多く、また更年期症状に悩まされている方でも、運動をすることで不調が大きく改善されるということなのです」

 そこで永田さんが提案するのが、誰でも簡単にできる「ちぇぶら体操」です。永田さんが考案した体操で、すき間時間を利用してできるストレッチ程度の運動です。

「運動が苦手な方でもすきま時間に実践していただきやすい、ごく簡単なもの。思い立ったらすぐにできます。さっそく朝・昼・夜に行える3つの運動をご紹介しましょう」

【朝】10秒ストレッチと手足ブルブル 全身の血流をよくする

(1)目が覚めてからすぐに、このストレッチで凝った筋肉を伸ばすことで、血流がよくなって体中のエネルギーがアップ。筋肉を目覚めさせる効果もあります。また手足の筋肉を動かすことで、脳に指令が届き、体にスイッチが入ります。

 目が覚めたら仰向けになったまま、息を吸いながら、手足を縦方向に引っ張り合うように全身をグーッと伸ばします。10秒行い、そのあと力を緩めてリラックス。息を吐き出します。

(2)続けて両手足を上げて、10秒ほどブラブラと動かす。ひざは伸ばしても曲げてもOK。揺らすスピードも無理のない範囲で行い、自分が気持ちいいと感じるように行って。手足を上げて揺らすことで、末端の血管まで新鮮な血液や酸素が巡っていきます。

【昼】階段の上り下りで筋力アップ! 心肺機能も向上も

 階段は筋力をつけるための一番身近なエクササイズツール。上り下りをするだけで、血流がよくなって、心拍機能もアップします。また、上り下りで使う太ももの筋肉「大腿四頭筋」は、体の中でも大きな筋肉で、筋力がつきやすい部分。2週間続けるだけで、体が楽になることを実感できるはず。

(1)上るときは、頭の上からひもで引っ張られているイメージで背筋を伸ばします。両足のつま先、ひざは正面に向け、太ももから引き上げるようにして脚を上げます。前に出ている脚はしっかり伸ばして、かかとから着地。

(2)下るときも背筋は伸ばし、視線は斜め下へ。両足のつま先、ひざは正面に向けて、つま先から着地します。

【夜】寝る前にリラックス 自律神経を整える夜の呼吸法

 更年期の不調を防ぐには、自律神経を整えておくことはとても大切なこと。この体操は、複式呼吸をしながら首の付け根を動かすことで、副交感神経を優位にしてリラックス効果が得られ、快眠へと誘います。

(1)あぐらをかいて座り、恥骨からおへそまでが床と垂直になるよう姿勢を正します。両手をお腹にあて、鼻から息を吸いながら、お腹をふくらませ、顔を上に向けます(無理のない範囲で)。

(2)姿勢はそのままで、口から「はぁ~」と8秒かけて息をはき、お腹を凹ませながら、2重あごになるくらいしっかりあごを引く。首のつけ根を伸ばすように。

 3つの習慣、いかがでしたか?

 更年期に向けて、今から知識を得たり、運動習慣をつけたりすることは、症状軽減のためには大切なこと。さっそく始めてみませんか。

(撮影/あかね写真館 大石一栄、取材・文/スローマリッジ取材班 内田いつ子)