先ほどの2人と同様に、公園や幼稚園など子育てがしやすい環境を気に入って購入。同じ区画に住むママたちとは良好な関係を築いてはいるものの、少し引っかかる部分があるんだとか。

「購入して5年経過した今でも、住宅メーカーによるヒエラルキーみたいなものがあります」

 竹中さんは高級住宅メーカーを選んだため、自分は下に見られる心配はないそうだが、価格重視のメーカーを選んだママ友に対しては“あの家はちょっとかわいそう”という目線を感じることがあるという。

 他にも、家が近いことから子ども同士が行き来することが多く、自宅の様子が子どもを通して筒抜けになってしまうのが気になっている。

「ご近所ママのお子さんが遊びに来たら、必ず手作りクッキーで迎えるようにしています。子ども経由で話が伝わり、『竹中さんのおうち、すごく温かくてすてきね』って褒めてくれるので。逆に、そうしないと何を言われるかわかりません」

 できるだけ隙をみせず、波風を立てないよう生活する日々。それでも竹中さんは「人生をかけた買い物をしたのだから、ママ友付き合いくらいで引っ越したくない」と話す。

「私だって面倒だなと思うことはあります。でも全ては子どものため。子育て世帯に優しい=住みやすいっていうわけではないと思っています。親が我慢すれば、子どもがのびのびと過ごせる環境が手に入れられるなら、それでいいと思っています」

 自宅の購入は人生で最も高い買い物の1つだ。一生住み続けることを前提に購入を検討する家庭も少なくないだろう。

 そんな時、ママたちをときめかせるのが“子育て世帯に優しい”というワード。だが、人によってはそれが“わずらわしさ”というリスクとなることもある。子どもに優しい環境が、親にとって心地いいとは限らないことは覚えておきたい。(取材・文=吉田みく)