さまざまな共演者から愛されていた三浦春馬さん(C)朝日新聞社
さまざまな共演者から愛されていた三浦春馬さん(C)朝日新聞社

 7月に亡くなった三浦春馬の連続ドラマが、9月15日にスタートする。「おカネの切れ目が恋のはじまり」(TBS系)だ。彼の死により、撮影は中断されたが、台本を変更するなどして計4回の短い構成で世に出ることとなった。

【写真】三浦さんと最も息が合っていたといわれる共演女優はこの人

 相手役は松岡茉優。放送が決まったことについて、自身のラジオでこんな胸中を明かした。

「私の個人的な気持ちとして1カ月と少し、相手役としてお芝居を受けていた身として、あの素晴らしい猿渡慶太という人物を皆さまに見てほしいと思いました。本当に、あの素晴らしいお芝居を見てほしい」

 最後の共演女優として、さまざまな思いがあるのだろう。では、他の共演女優たちにとって、三浦春馬とはどういう存在だったのか。そのあたりにも注目しながら、彼が残した数々の作品を振り返ってみたい。

 まずは、ブレーク作というべきドラマ「14才の母」(日本テレビ系・2006年)。中学生(中2)の妊娠という難しいテーマを扱った作品で、彼は志田未来扮するヒロインの恋人(中3)を演じた。いきなり父親になるかもしれないという予期せぬ事態に戸惑い、葛藤していく役どころだ。

 志田については「ちょっと変わった女の子だと思っていた」のに「彼女に言わせると僕のほうが変わっているらしくて(笑)」などと語っていた。また、

「ただ2人で話していると『そういえばあれってさ……』みたいに、すごいスピードでどんどん話の内容が変わっていくんですよ」(週刊女性)

 とも言っていて、似た者同士だったのかもしれない。

 その4年後、彼は運命の出会いをする。映画「君に届け」(10年)でダブル主演した多部未華子だ。ふたりのキャスティングは好評で「マンガのイメージと違う」というありがちな声もほとんど耳にしなかったし、原作者の椎名軽穂もふたりのハマり具合を絶賛していた。

 個人的にも、少女マンガの実写化としては史上最高作品に推したいほどで、それも2人の好演によるところが大きい。人と人とのもどかしい距離感を自覚したうえで、大事な思いをどう届けるか、という作品のテーマが見事に表現されていたのだ。

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宝泉薫

宝泉薫

1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など

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「本当にやんちゃ!そして落ち着きがない(笑)」(多部未華子)