かつて大手不動産企業にいたという謎の“アマゾネス集団”。写真はイメージ(写真/PIXTA)
かつて大手不動産企業にいたという謎の“アマゾネス集団”。写真はイメージ(写真/PIXTA)

 これはもう、今は昔。私が新築マンションの分譲広告を作成する制作プロダクションを経営していたころの話です。

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 私の会社が直接仕事をもらうのは広告代理店から。電通や博報堂といった大手ではなく、中小の代理店がほとんどでした。その代理店の向こうに、広告の発注者であるマンションデベロッパーがいます。彼らのことを、われわれは「クライアント」と呼んでいました。当時、私は広告代理店の営業担当とともにクライアントへ打ち合わせに行くことが、日常の主な業務でした。

 その時代は今よりも下請けの扱いは劣悪で、クライアントから昨日言われたことと“逆のこと”をやれと怒鳴られるなんて日常茶飯事でした。また、絶対的に無理な要求やスケジュールを突き付けられたり、担当者の言っていることが“意味不明”なんてことは毎日でした。しかし、発注側のマンションデベロッパーは、「神様、仏様、お客様」です。「ご無理、ごもっとも」なんて当たり前。クライアント様が白いものを黒と言われたら「ハイ、その通りでございます」と言わねばならないのが代理店であり、そのまた下にいる外注業者である私たちでした。このお話は、そういう関係性の中で起きた出来事です。

 舞台は、われわれが「Y」と呼んでいた1部上場のマンションデベロッパー。当時でマンション供給戸数の上位5社には常連で顔を出す会社でした。

 そこの広告発注部門はなぜか全員が女性でした。そのセクションには、女性社員ばかりが10人前後いて、見た限り、20代から30代のようでした。なぜYに女性ばかりのセクションがあったのかは、いまだによく分かりません。当時のマンション広告は紙が主体で、間違いがないかを細かくチェックする仕事などは「女性向き」だと、その会社の誰かが考えたのかもしれません。とにかく、私たちのようなマンションの広告業者がYの仕事を請ける時は、彼女たちの指示に従わなければなりませんでした。

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ターゲットは20代前半のジャニーズ系