広島・田中法彦(画像は広島カープからの提供写真)
広島・田中法彦(画像は広島カープからの提供写真)

 各球団、残り約50試合となった今年のペナントレース。例年よりも試合数(120試合)が少なく、また過密日程ということもあって、中には首位からは大きく引き離されて既に消化試合の雰囲気が漂う球団も出てくる時期となった。そこで今回は今季の優勝が難しくなり、来季以降に向けての切り替えが必要な球団と、抜擢すべき若手選手について取り上げてみたいと思う。

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 まずパ・リーグで切り替えが必要な球団となると、やはり最下位に沈むオリックスになるだろう。9月10日終了時点で借金は20。首位ソフトバンクとは17ゲーム、5位日本ハムとも8.5ゲームの大差をつけられており、クライマックスシリーズ圏内の2位に入ることは絶望的な状況だ。

 8月20日には西村徳文監督が事実上の解任となり、現在は中島聡監督代行が指揮を執っているが、これをきっかけに来季に向けての新たな戦力発掘を進めたいところである。大きな課題はやはり得点力不足だ。チーム打率はリーグ4位タイながらも1試合あたりの得点数はリーグで唯一3点台の3.67。出塁率と長打率を足したOPSも唯一6割台の.662となっている。

 首位打者をひた走る吉田正尚がいながらもこの数字ということは、いかに前後を固める打者が弱いかということを物語っていると言えるだろう。まず長打力がある選手ということで、中島監督代行が就任してからは中川圭太と杉本裕太郎を積極的に起用しているが、これは悪くない方針である。

 今のところ二人とも長打力という点では貢献できてはいないが、数少ない右の強打者タイプだけに我慢して起用することは必要だろう。二軍を見るとルーキーの紅林弘太郎、大下誠一郎を多く起用しているが、彼ら二人も強打が売りの選手だけに、ファームの試合で多く経験を積ませることは重要であり、ぜひ継続してもらいたいところだ。

 そして最も抜擢してほしい選手が高校卒2年目の太田椋だ。7月16日、17日には2試合連続ホームランを放つ活躍を見せたが、現在は二軍でのプレーが続いている。抜群のリストの強さと全身を使ったスイングは魅力十分で、上手くいけば山田哲人(ヤクルト)のような選手になれる可能性を秘めているだけに、コンディションに問題がなければ一軍で起用し続けてもらいたいところだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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