オスカープロモーションの晴れ着撮影会=2016年12月。中にはすでに事務所を離れたタレントも…(C)朝日新聞社
オスカープロモーションの晴れ着撮影会=2016年12月。中にはすでに事務所を離れたタレントも…(C)朝日新聞社

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響はさまざまな業界に甚大な被害をもたらしているが、芸能界も未曽有の危機的状況に陥っている。

【写真】大手芸能事務所を退所した超有名女優といえばこの2人

 緊急事態宣言下にあった4~5月に比べると、最近では徐々に芸能関連のイベントやライブ、コンサートなども行われているが、知人の芸能事務所の社員やレコード会社スタッフに話を聞くと、実情はかなり厳しいようである。

 最近では、有名タレントやスタッフが大量流出したオスカープロモーションが話題となったが、コロナ禍の打撃も重なったことで、懐事情が苦しい大手芸能事務所は少なくない。

 数多くの人気お笑い芸人や俳優、女優、ミュージシャンなどを抱えている老舗芸能事務所はコロナ禍により経営が悪化し、最近になって所属タレントとの契約を見直したほか、20人近くのスタッフをリストラしたという。所属タレントの中にはバラエティー番組などでよく目にする売れっ子も複数おり、にわかには信じがたい話だが、取材を進めてみたところ間違いなさそうだ。

 いくら売れっ子といっても、昨今はテレビ番組のギャラがかなり下がっており、冠番組を持っていたり、大手クライアントのCMに出演しているような一握りのトップタレントでもない限り、会社の屋台骨を支えるほどの収益を上げることは難しい。

 番組のギャラがいかに下がっているかについては、全盛期に自身の冠番組のギャラが1本1200万円だっとされる大物司会者の出演料が、今では200万円を切っていることからも分かる。

 折からのギャラの下降に加えて、コロナ禍により比較的利益率の高い地方営業などの仕事が激減し、大半の所属タレントの稼働が落ち込む中、一部の売れっ子の稼ぎに頼るというビジネスモデルも通用しなくなってきているのかもしれない。オスカーもそうだが、前出の老舗芸能事務所のように、所属タレントやスタッフの数が多い大所帯の事務所ほど苦しんでいる印象がある。

 また、今回のコロナ禍は本業のみならず、事務所にとっては“保険”だったはずの副業にも大きなダメージを与えているというから、泣きっ面に蜂のような状態だろう。

著者プロフィールを見る
三杉武

三杉武

早稲田大学を卒業後、スポーツ紙の記者を経てフリーに転身し、記者時代に培った独自のネットワークを活かして芸能評論家として活動している。週刊誌やスポーツ紙、ニュースサイト等で芸能ニュースや芸能事象の解説を行っているほか、スクープも手掛ける。「AKB48選抜総選挙」では“論客(=公式評論家)”の一人とて約7年間にわたり総選挙の予想および解説を担当。日本の芸能文化全般を研究する「JAPAN芸能カルチャー研究所」の代表も務める。

三杉武の記事一覧はこちら
次のページ
補助金をもらってもイベントは赤字