法政大出身の国会議員で、地方議会議員出身者は6人。その割合は46.2%で、中央大57.1%、明治大53.3%、日本大50%に次ぐ高さだ(国会議員10人以上)。

 地方議会議員出身者は次のとおり。

秋本真利(千葉県富里市議)、菅義偉(横浜市議)、田中和徳(川崎市議、神奈川県議)、山本拓(福井県議)、松下新平(宮崎県議)、金子恵美(福島県伊達市議)

 地方議会議員ではないが、上田清司は埼玉県知事をつとめていた。

 法政大の2世3世議員は、金子恵美1人しかいない。夫の不倫騒動で有名になった同姓同名の前議員でタレントの金子恵美(かねこ・めぐみ)と混同されやすいが、法政大出身の金子議員は「かねこ・えみ」と読む。父が自民党選出の衆議院議員だった。

 なお、2世3世議員については慶應義塾大が圧倒的に多く41人、56.9%となっている。東京大は33人で25.6%、早稲田大は19人で26.0%。これに比べて法政大の2世3世議員比率は7.7%なので、ここからも「たたき上げ」感が示される。

 朝日健太郎は、オリンピック2008年北京大会、2012年ロンドン大会でビーチバレー代表だった。法政大出身にはほかにも元スポーツ選手の国会議員がいた。阪神タイガースなどで活躍した元プロ野球選手の江本孟紀。「ベンチがアホやから野球がでけへん」のエモヤンだ。1992年から2004年まで参議院議員をつとめた。

 田中和徳は、現在の第4次安倍再改造内閣(2019年9月発足)で復興大臣をつとめる。田中は山口県の農家出身で親戚に政治家はいない。国会議員秘書、市議、県議を経て、1996年に衆議院議員となった。菅官房長官とは年齢(学年)が一緒、大学が同じ、初当選の時期も同じ、当選回数8回も同じ。しかも、選挙区は神奈川県内というのも一緒である。まるで菅の分身のようだ。田中は初入閣だが、安倍晋三首相の辞任で、大臣就任期間はわずか1年となりそうだ。しかし、菅が総理になれば、菅と似たような経歴と近しい関係であるゆえ、内閣で重用されるのではという見方がある。

 第4次安倍再改造内閣はまもなく終わる。

 備忘録的に、この内閣で話題の大臣の出身校を見てみよう(カッコ内)。

 初入閣組は田中和徳のほかに文部科学大臣の萩生田光一(明治大)、環境大臣の小泉進次郎(関東学院大)、農林水産大臣の江藤拓(成城大)など。法務大臣に就任した河井克行(慶應義塾大)も初入閣だったが、公職選挙法違反の疑惑を持たれ辞任し、森雅子(東北大)に交代した。

 官僚出身には厚生労働大臣の加藤勝信(東京大)、経済再生担当大臣の西村康稔(東京大)など。新型コロナウイルス感染対策でその名は良くも悪くも国民のあいだに刻まれた。

 ほかに、財務大臣の麻生太郎(学習院大)、外務大臣の茂木敏充(東京大)、防衛大臣の河野太郎(慶應義塾大)などが、ときに顰蹙を買うような発言などで相変わらず存在感を示した。

 菅義偉官房長官が自民党総裁選に勝てば、法政大学初の総理大臣誕生となる。大学は盛り上がるだろう。ただ、法政大の田中優子総長は、安倍政権の政策には批判的だった。安倍政権を継承すると言われる法政大OB宰相に、田中総長はどのようなエールを送るか。注目したいところだ。

※文中敬称略。出身大学は中退含む。議員の所属政党は9月10日現在。

(文/教育ジャーナリスト・小林哲夫