キャリアの「重要時期」失った羽生結弦、そんな中でも垣間見えた“他人への配慮”

2020/09/10 17:00

 そして8月28日、羽生は今季のGPシリーズを欠場することを明らかにした。栄光の陰で、羽生は何度も怪我や病気に苦しめられてきている。アスリートはみな武器である体が傷つくことに敏感だが、とりわけ気管支喘息の持病がある羽生がコロナウイルスに対して感じる恐怖には、想像を絶するものがある。

 そして、すべての試合に全力で挑む羽生にとり、入国制限や自己隔離によりカナダ在住のブライアン・オーサーコーチと共に万全の態勢で臨めないことは受け入れがたかったと思われる。また決断の背景には、観客や関係者、メディアに対する配慮もあった。スター選手である羽生は、自身がGPシリーズに参加しないことの影響についても熟考した上で決断を下したのだろう。

 スケーターとしてはベテランである25歳の羽生の滑りを、今季のGPシリーズで観られないことはとても残念だ。だが、羽生が熟慮の末に下したと思われる決断は尊重されなければならない。状況が整い競技会に戻った時には、羽生は必ず渾身の滑りを見せてくれるだろう。(文・沢田聡子)

●沢田聡子/1972年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。シンクロナイズドスイミング、アイスホッケー、フィギュアスケート、ヨガ等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。「SATOKO’s arena」

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