去就に注目が集まる武藤嘉紀(写真/gettyimages)
去就に注目が集まる武藤嘉紀(写真/gettyimages)

 昨季スペインでは久保建英が旋風を巻き起こし、イングランドでは強豪リヴァプールに南野拓実が加入。その他フランクフルトの中心となった鎌田大地に衰え知らずの長谷部誠、ラ・リーガ1部昇格の立役者となった岡崎慎司など、近年日本人選手が海外リーグで見せる活躍には目を見張るものがある。

 しかしその一方で、欧州で苦戦が続く選手がいるのも事実。今回は2019-20シーズンに所属クラブで苦しんだ日本人プレイヤー3選手の現状と去就を分析していく。

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【香川真司】

昨夏ドルトムントを退団し、憧れ続けたスペイン挑戦のためにラ・リーガ2部レアル・サラゴサ加入を決断した香川。クラブ、サポーターの大きな期待を受けてシーズン序盤から中心的な役割を担い、第5節までに2ゴールを挙げる活躍。上々のスタートを切っていた。しかし11月の負傷以降はコンディションを落とし、先発メンバーから外れることも増えていく。以降レアル・マドリーとのコパ・デル・レイや昇格プレーオフでは輝きを放ったものの、チームを7年ぶりの1部復帰に導くことはできず、やや物足りないシーズンを送った。

サラゴサ加入に際し大幅な給与カットを受け入れたものの、2部の選手としては断トツの年俸を受け取る香川。コロナ禍の影響もありクラブは資金難に陥っており、また来季に向けてスカッドの刷新を希望。現地メディアは、31歳MFは放出候補の1人と盛んに報じている。すでに中東のクラブが接触しているとも伝えられていた。

その姿勢やプレー自体は熱狂的なサポーターに高く評価されている香川ではあるが、サラゴサは昇格に導くことを期待して契約した。恵まれた資金を有していない中、なんとか資金をねん出して2年契約を結んでいる。もちろん彼だけの責任ではないが、1年目で目標を達成できなかったことは期待外れと言えるだろう。

本人は減俸を受け入れてでも残留を希望しており、退団する場合はクラブの意向となりそうだ。もし来季もサラゴサに留まるのであれば、シーズンを通した好パフォーマンス、そして1部昇格はノルマになるだろう。

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かつての日本代表のエース候補も…