5.したく=支度
~「支」にも「度」にも「はかる」意味がある

 漢字表記のうち、「支」は「分かれたもの」という意味です。そして、分かれたものを数えることから、「はかる」という意味もあります。一方の「度」も、計量の基準を示す「尺度」という熟語に用いられるように、「はかる」という意味があります。そして、二つを合わせた「支度」は、「はかる」「見積もる」という意味です。見積もることは準備に通じるので、「準備」の意味にもなりました。

6.ずいぶん=随分
~「分」に「随う」ので「身分相応」が本来の意味

 漢字の「随」は「したがう」こと、「分」は「身分」のことです。したがって「随分」とは本来「分に随う」ことであり、「身分相応」という意味なのです。それが「分に応じて、できる限り」という意味にもなり、「できる限り」の部分が強調されて「非常に」「はなはだ」の意味になったといわれています。

7.てあて=手当て
~軍を配置した備えから準備や処置の意味になった

 ここでは、「手」が軍勢を、「当」が配置を意味します。古くは、敵の攻撃に備えて、要所要所に軍勢を配置することを「手当を置く」と言ったのです。そこから、「準備」や「処置」の意味になりました。必要なところに処置をする場合にも使われることから、病気やけがにも用いられるようになりました。

※漢字エンタメ誌「みんなの漢字」2019年11月号から抜粋
監修/久保裕之(立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所)