ちなみに、松丸兄弟は30代と20代、みな実は30代だが、こうしたコンプレックスは根深く、年を重ねても残るようだ。たとえば、ビートたけしは今年1月「新・情報7daysニュースキャスター」(TBS系)で大学入試の話題になった際、こんな自慢をした。

「俺の友達、東大に受かったやついるけど数学は俺よりバカだった。俺が教えてやった」

 たけしは明治大学除籍。ただ、兄の北野大は同じ明大を出て化学者となった。が、たけしの自伝エッセーをドラマ化した「たけしくんハイ!」(NHK総合)では、東大生の兄がいる設定に。たけしの兄は東大卒という話が都市伝説っぽく広まったのは、この影響が大きい。

 なお、たけしの数学へのこだわりは「たけしのコマ大数学科」(フジテレビ系)という番組にもつながった。「もし違う道を選ぶなら、数学の研究者になりたかった」と語るほどで、それこそ、数学だけなら兄にも負けないという思いかもしれない。そんな学問への興味や自信が、彼をお笑いだけにとどまらないマルチな大物にしたのだ。

 一方、たけしのような弟を持ったことで、兄は学者タレントとしても活躍することに。人生のめぐりあわせというのは面白い。

 最後に、松丸兄弟のエピソードをもうひとつ紹介しておこう。昨年「ニンゲン観察バラエティ モニタリング」(TBS系)で、兄弟対決が実現。前出の「おしゃれイズム」では、亮吾がこの対決を振り返った。

 彼に言わせれば「DaiGo、雑魚なんですよ。謎解きに関してはほんとダメダメで」ということなのだが、

「『お前、その顔してるってことは、たぶん、僕に合わせて問題作ってきただろ』って言われて『全然問題わかんないけど、答、DaiGoでしょ』って、正解したんですよ。僕の心、出題者の心を読んで、答、出してきて」

 と、ババ抜きやボールの色当てというメンタル勝負に続き、得意の謎解きでも敗北。ブレークしつつあった弟を、先にブレークした兄が返り討ちにする構図となった。

 とまあ、兄弟や姉妹によるしのぎあいは第三者として見ていても盛り上がる。少子化の世の中ではいっそう、注目されていくことになりそうだ。

宝泉薫(ほうせん・かおる)/1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など

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宝泉薫

宝泉薫

1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など

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