「技術的に楽をしないことも重要。最近、少し気になるのは、守備の送球時に軽く放る時がある。送球がシュート回転している時も見受ける。フットワークが良く強肩なので、今はそれでもアウトにできる。でも身体が動く今だからこそ、楽をしない送球を身体に思い出させて欲しい。そうすれば体力が落ちても、正確な送球が自然にできるはず」

 デビュー当時は周囲から酷評されることもあった遊撃守備だったが、努力を重ね球界きっての名手と言われるまでとなった。今後も華麗で堅実な守備を見たい。同じポジションを知る者として、気にかかっている部分ではあるようだ。

 18年に5年間(19~23年)の長期契約を結び直していたことを自ら公表。「ジャイアンツで最後までプレーしたいという気持ちを今は持っています」と語った。長期契約によるマンネリ化などを心配する声もあるが、それは問題ではないという。

「考え方次第で長期契約の意味、価値も変わってくる。安定と考える者もいるが、モチベーションがさらに高まる選手もいる。メジャーを含めた選択肢から、巨人という日本一注目される球団を選んだ。イバラの道なのはわかっているはず。野球人としての覚悟を感じるし慢心など微塵もない。ここからさらに大きく飛躍するはず。40歳を超えて遊撃手をやっていたらスゴイね」

 話を聞いていると、坂本に対してかなり大きな期待をしているのがわかる。楽しそうに語る声を聞いているとファンのようにも思える。

「ある意味、ファンかもしれないね。それだけ魅力的な選手ということ。純粋に良い選手だから。今年もこれから間違いなく成績を上げてくるはずだよ」

 選手として超一流だった宇野氏をも魅了する坂本は、やはりスターである。(文・山岡則夫)

●プロフィール
山岡則夫/1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て01年にInnings,Co.を設立、雑誌『Ballpark Time!』を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、編集・製作するほか、多くの雑誌、書籍、ホームページ等に寄稿している。Ballpark Time!公式ページ、facebook(Ballpark Time)に取材日記を不定期更新中。現在の肩書きはスポーツスペクテイター。