好演が光った多部未華子さん(c)朝日新聞社
好演が光った多部未華子さん(c)朝日新聞社

 最終回を迎えた、ドラマ「私の家政夫ナギサさん」。多部未華子扮するバリキャリの独身女性が、大森南朋演じる癒やし系のおじさん「家政夫」に魅せられていくラブコメディーだ。働く女性に評判のドラマだったが、現実世界にナギサさんのような家政夫は存在するのか。家事代行業で働く男性に取材すると、そのスキルと気遣いに脱帽してしまった……。

【写真】このエプロン姿に癒やされる~!大森南朋演じるナギサさん

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「得意料理はほうれん草のおひたしです。野菜がちゃんと摂れるようにと意識しているんです」

 と話すのは、3年ほど前から登録型の「家政夫」として働くAさん(20代)。穏やかな声に柔らかい物腰。若いのに妙に落ち着いた雰囲気は、まさに癒やし系だ。得意料理のほうれん草のおひたしは、味付けにはちみつを使うなど調味料にこだわる。もちろん下処理も抜かりない。

「ゆでる前にほうれん草を洗う時も、葉をしっかりなでるようしていますね」

 女性の社会進出でニーズが増えた家事代行サービス。ドラマの主人公「メイ」のような働く独身女性や、シングルマザー、体力の衰えてきた高齢者が仕事を依頼することが多いようだ。

家事代行の多くは登録型で、依頼があればスタッフが自宅に派遣される仕組み。今の時代、ネットでは「男性募集」の求人を目にすることもある。実際、Aさんが登録している会社には、ナギサさんと同年代の男性スタッフもいるという。

「先輩方はやはりその道のプロ。僕なんてまだまだです……」

 どんなスキルが求められているのだろうか。男性となると力仕事がメーンなのかとおもいきや、そうでもないらしい。

「男女で、家事スキルに差はないと感じています。力仕事というよりは、普通に掃除や料理を依頼されることが多いです」

 依頼主が仕事に出かけた後、午前中から仕事を開始。部屋を掃除し、整理整頓して午後に終了というのが基本パターンだ。落とせなかった汚れはメモで報告する。

ちなみに、家事代行として、数年間一度も掃除していない「汚部屋」の清掃を依頼されることもあるようで、その場合、スタッフはゴム手袋やマスクなどで完全防備して入室。それでも異臭で目が染みて、カビなのか、ゴキブリの死骸なのか、ごみなのかわからないモノを処分する……。ドラマのメイの散らかった部屋などかわいいもののようだ。

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ナギサさんとメイのように恋愛関係にはならないが……