九州全域に多大な影響力を持つ、ソフトバンク選手も多くのローカルCMに出演している。

 ダイエー時代には井口資仁(現・ロッテ監督)が「辛子めんたいのまるいち」に出演。福岡の宅配ピザ「ピザクック」は12年から松田宣浩をイメージキャラに起用、CMでは宅配バイクに乗る。そして明石健志はバック宙ができる肉体美、というつながりで『ハンディミストシャワ-IO霧(イオム)』(クレイツ)に出演。もはや何でもあり、という状況にもなっている。

 地域密着ではないが金田正一は現役、ロッテ監督時代も含めキャラそのままにCMでも飛び抜けた存在感を発揮。

 ノックを打ちながら「もう1つ」と聞き返すロッテの自社製品『ロッテ・イタリアーノ』。

 和服姿で「うまきこと誠にぜんざい、わかっちょるね」とカメラ目線でのたまう『ロッテ・ぜんざい」。

「男はがんばろう」と上半身裸で腕立て伏せをする『チョーヤの梅酒』。

 極めつけは、15歳の娘さんと共演した『エクボ ミルキィフレッシュ」(資生堂)。スイカや洗濯カゴを頭にかぶらされるオチまでついている。

 スポーツメーカーや他業種も野球をモチーフにしたアイデアで攻めている。

 なかでも野球メーカーSSK社はとんがっていた。多くのプロも愛用する一流メーカーで、一時期は『ディンプル』と呼ばれる独自技術構造を前面に出すCMでの正統派勝負だった。契約選手の巨人・西本聖や阪神・岡田彰布を使ったストイックなプレー映像でのCMだった。しかしある時からシフトチェンジ。今ならコンプライアンスに引っかかりそうなものを全国放送していた。

「ジャック・ハズ・ア・バット・アンド・ツーボールズ」とひたすら叫びながら基礎練習に打ち込んでいる選手。しかし捉え方によっては、完全に下ネタ。これを野球中継のイニング間に流していたとは、恐れ入る。

 その他にも「ヒロシ、かっ飛ばせ」と母親がスタンドで応援を先導するものなど、シュールなものが多かった印象だ。

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「もっと選手が世間に認知され、CMにもバンバン出ないと」