同じく人気球団の阪神では、ミスタータイガース・掛布雅之。

『背番号31』のユニフォームを着て金鳥のCMに登場した。「蚊にはキンチョー、マットです」、落語家・三遊亭円丈との掛け合いは、掛布氏の憎めないキャラにマッチした。また同シリーズでは、阪神キャップにスーツ姿の掛布がスナックにいる設定もあった。

 85年阪神日本一の立役者ランディ・バースは、ジレット社CMでトレードマークのヒゲを剃り落とした。ギャラ推定1億円とも言われ、「俺はヒゲを剃れない。絶対に剃れない」のセリフとともに別人のようになってしまった。その後、同社は『剃刀の三冠王』のコピーを使用した。

 地方のローカルCMでは、ご当地球団選手の抜擢はお約束。地域密着はかなり昔から行われていた。

 広島選手が登場したのは、即席ラーメンの『出前一丁』(日清食品)。

 大野豊、川口和久、津田恒実など中心選手が登場し、スタジオ内でシャドーピッチング。作品のチープさが当時の広島を連想させる。

 地元企業が広島選手を支えるのは、人気球団となった現在でも変わらない。

『もみじ銀行』に田中広輔と西川龍馬が登場。旧広島市民球場横に本店のる家電量販店『エディオン』が野間峻祥を起用したこともある。また『眼鏡市場』にはたびたび外国人選手が出演。ブラッド・エルドレッド、ヘロニモ・フランスア、クリス・ジョンソンが見事な“広島弁”を披露している。

 関西では家電量販店ジョーシンの阪神選手バージョン。

 18年ぶりのリーグ制覇を果たした03年からはじまったCM。初代出演者から今岡誠、赤星憲広、矢野輝弘(現監督※名前は当時の登録名)と豪華な陣容。08年にはここに藤川球児も加わった。以後も新井貴浩や鳥谷敬(現・ロッテ)、藤浪晋太郎など大物が出演。今年は梅野隆太郎、糸原健斗が選ばれた。

 ジョーシンCMも広島のものとさほど変わらないクオリティ。合成場面の前で懸命に演技をしている選手の姿がいじらしくも感じる。

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親会社のCMに出演したロッテOBも