写真はイメージです(Getty Images)
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 新型コロナウイルスが、子どもたちの心にどんな影響を与えているのでしょうか。国立成育医療研究センターが、子どもと保護者6800人にアンケートを行ったところ、約7割の子どもにストレス反応が出ていたことがわかりました。子どもたちはどんなことで苦しんでいるのか。不登校新聞の編集長、石井志昂さんはアンケート結果をもとに、いま保護者に伝えたいことをまとめました。

【子どもへかける言葉】どうする?コロナ禍の中学受験

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 アンケートには下記のような声が寄せられていました。
 
「コロナのことを考えると寝ながら少し泣いてしまう」(男子小学生・山口)

「先生が怖い。友だちと遊ぶと怒られる」(女子小学生・富山)

「人とすれちがうだけで怖くなる」(女子小学生・東京)

「勉強ばかりで思い出がまったくない」(女子小学生・神奈川)

「テレビで『子どもが家にいるのがストレス』と言っている親の人がいたけど、それは子どもも同じ。自分の存在を否定されることを言われるとつらい」(女子中学生/神奈川)

「飲み屋で大人が騒いでいるのを見ると、私たちがふだん学校でしている対策はなんなのだろうと思う」(女子中学生/島根)

 大人としてハッとする発言もあり、子どもが苦しんでいること、不安がっていること、不満を持っていることがよくわかりました。

■ 不眠傾向も2割の子どもに

 コロナの影響を調べたアンケートは今回で2回目。前回は2020年4月30日から5月31日に実施しており、緊急事態宣言下での調査でした。今回は休校明けが相次いだ6月15日から7月26日に実施。結果は、ほとんどいっしょで7割以上の子どもたちにストレス反応が出ていました。第2回目のアンケートによれば、多かったストレス症状は「コロナのことを考えるとイヤな気持ちになる」(41%)、「最近、集中できない」(32%)、「すぐにイライラする」(28%)。

 心療内科医・明橋大二医師は、調査結果を受けて「東日本大震災時にも同様の調査をしたが、その際、ストレス症状が出た子どもの割合は全体の43%だった。現在は震災時よりも多くの子どもに影響が出ている」と、ストレス反応が多くの子どもに出ていることを危惧していました。一方、調査を行った半谷まゆみ医師は、ストレス反応はコロナと関連して考えづらく「本人の怠慢や努力不足と誤解されてしまうが、適切なケアが必要だ」と指摘していました。

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石井志昂

石井志昂

石井志昂(いしい・しこう)/1982年、東京都町田市出身。中学校受験を機に学校生活があわなくなり、教員や校則、いじめなどを理由に中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からNPO法人全国不登校新聞社が発行する『不登校新聞』のスタッフとなり、2006年から編集長。これまで、不登校の子どもや若者、識者など400人以上に取材してきた

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親は子どものストレスにどれくらい気づいている?