■英語表記の独自見解を示したもの

 これらを踏まえ、下記の鉄道事業者が独自の見解を持つ列車種別の英語表記を紹介しよう。

●京王電鉄
 特急は「Special Express」、区間急行は「Semi-Express」と表記している。同社によると、翻訳会社の協力のもと、外国人の乗客が最も理解しやすい表記方を協議した上で決定したという。

 「Special」は「特別」という意味。特急自体も「特別急行」を略した列車種別なので、「特急=Special Express」のほうがわかりやすいと私も思う。このほか、特急より停車駅の多い準特急があり、「Semi- Special Express」と表記する。

●京浜急行電鉄
 羽田空港方面のエアポート快特、横浜・京急久里浜方面の快特、特急ともすべて「Limited Express」である。同社によると、列車種別に相当する適切な英語がないため、上記に統一したという。

 また、停車駅も異なるため、駅の時刻表ではエアポート快特を「※Limited Express(※KAITOKU)」(※は飛行機のマーク)、快特を「Limited Express(KAITOKU)」、特急を「Limited Express(TOKKYU)」とそれぞれ表記する。路線図でも列車種別による色分けを行うなどの差別化を図り、誤乗防止に努めている。

 なお、エアポート急行は「Express」である。“ただの急行”が存在しないので、シンプルな表記で充分のようだ。

●京成電鉄
 最高時速120キロの通勤形電車で運転されるアクセス特急は「Access Express」で、LimitedやSpecialを用いない。

 同社によると通勤形電車の特急は、2010年7月17日から従前の京成本線経由のほか、成田空港線(成田スカイアクセス)経由も加わった。下り列車と上り列車の始発駅は成田空港ながら、経路や運賃が異なるため、乗客の案内を明確にするために、京成本線経由の特急「Limited Express」に対し、成田空港線経由の特急はアクセス特急という新たな列車種別にし、英語表記も「Access Express」と区別させたという。

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空港快速が「HANEDA EXPRESS」になったワケは?