が好きでゴリラ顔ということでついた「餅ゴリ」という愛称が、彼のいじられ具合を象徴している。「すごい実績があるのに、まったく偉ぶらない。番組で自分が一緒になって笑ったり、おちゃらけたり、ラフな格好で出てきたり。偉そうにして女の子が萎縮してしまうのを防ごうという意図を感じます。彼は偉くなればなるほど腰を低く、やわらかく接している」(田家氏)

 一見、優しそうに見えて腰が低いJ.Y.Parkだが、田家氏は「物腰はやわらかくても、中身はパンク魂に満ちた人だと感じる」と言う。

 2007年に「ワンダーガールズ」のヒット曲『Tell Me』が韓国の大統領選挙用の宣伝ソングの候補になった際には採用を拒否するなど、体勢側とは距離をおき、在野の人間としての姿勢を保つ。

 また、アメリカでの生活を経験したことから、アーティストとしてR&Bなど海外の文化を韓国の歌謡界に持ち込んだ人でもある。

「現地の音楽シーンを変えたほどの功績がある。日本でいう久保田利伸のようなパイオニアです」(K-POPゆりこ氏)

 田家氏はこうした彼の行動から、「伝統や既成概念にとらわれず、既存の常識をぶち壊そうとするチャレンジ精神を感じる」と語り、AKB48やおニャン子クラブなどでアイドル史を塗り替えてきた秋元康氏との共通項を見いだす。

「戦略家な秋元さんは、ビジネスの開拓者として、日本の新たな音楽シーンを作り上げてきた。握手会などの戦略は批判もありますが、この世にないもの、システムを創り出してやろうという気概を感じます。両者の根底にあるのは、曲をヒットさせるだけに終わらせず、社会の常識までも変えてやろうというパンク魂だと思います」

 ただ、秋元氏とは、見ている方向がやや違うという。

「今でこそAKBは海外でも話題になっていますが、最初のベクトルはあくまでも国内に向いていて、海外進出を目指して出発したわけではない。一方のJ.Y.Parkさんは、はじめからいろんな国を見据えている。一国内で終わらせないような、壮大なビジョンを感じます」(同)

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音を「引き算」して曲を作る