その他のタイプとしては、直進ルートと折り返しルートが共存する例が挙げられる。磐越西線の会津若松駅は只見線や会津鉄道の起終点駅でもあるが、幹線である磐越西線が同駅でスイッチバックする形になっており、3面5線ホームのうち1・2番線が行き止まりの頭端式。これは当初の計画が直進して新潟方面を目指すものであったが、喜多方経由に変更されたことによる。この類似例にJR九州の早岐駅がある。特急街道である佐世保線と非電化ローカル線の大村線との接続駅だが、不思議なことに幹線である佐世保線のほうがスイッチバックを余儀なくされているのである。これは大村線が福岡方面と長崎とを結ぶメインルート(九州鉄道長崎線→国鉄長崎本線)だった名残りだ。

 このタイプには、ほかに東武野田線の柏駅や小田急江ノ島線の藤沢駅などが挙げられる。このタイプうち、大曲駅では秋田新幹線がスイッチバックになっているが、これは田沢湖線の線形のため。その結果、「こまち」の全列車が同駅で停車することとなった。

 ざっとスイッチバックを検証してみたが、地形のみならず鉄道の栄枯盛衰など歴史にも関わっており、その成立の経緯や関連する廃線跡など、意外と興味深い物件ともいえる。(文・植村 誠)

植村 誠(うえむら・まこと)/国内外を問わず、鉄道をはじめのりものを楽しむ旅をテーマに取材・執筆中。近年は東南アジアを重点的に散策している。主な著書に『ワンテーマ指さし会話韓国×鉄道』(情報センター出版局)、『ボートで東京湾を遊びつくす!』(情報センター出版局・共著)、『絶対この季節に乗りたい鉄道の旅』(東京書籍・共著)など。