起点のしらび平駅は標高1,662メートルなのに対し、終点の千畳敷駅はなんと2,612メートルで、ほぼ1キロ登る。

 ロープウェイは「索道」と言い、鉄道事業法に基づき「鉄道」に分類される。ゴンドラリフトやスキー場のリフトなども含まれるが、鉄道関連のメディアでも「鉄道」という認識はなく、駒ケ岳ロープウェイは“参考記録”として扱われる。

■地下鉄の駅は低い場所とは限らない!

 最近注目を集めていると思われるのは、「地下鉄の最高地点駅」だ。以前は兵庫県の神戸市営地下鉄西神・山手線(せいしん・やまてせん)の総合運動公園駅で、標高102.74メートルの地上駅だった。ところが、2015年12月6日に宮城県の仙台市営地下鉄東西線が開業。起点の八木山動物公園駅は標高136.4メートルで、地下鉄第1位の座に躍り出る。ホームは地下にあるものの、駅舎は丘の上にそびえたつ。

 ところが、この記録は思いがけないかたちで、神戸市営地下鉄が奪還する。2020年6月1日、相互直通運転相手の北神(ほくしん)急行電鉄を事実上買収したことにより、神戸市営地下鉄北神線に生まれ変わった。終点の谷上(たにがみ)駅は標高244メートルで、八木山動物公園駅を大幅に上回ったのだ。

 北神線は地下駅の新神戸を発車すると、トンネルをひたすら登り、抜けると、そこは六甲山。ほどなく終点谷上に到着する。駅間距離は7.5キロで“地下鉄最長の駅間距離”という、永遠に破られそうもない記録をも樹立した。(文・岸田法眼)

岸田法眼(きしだ・ほうがん)/『Yahoo! セカンドライフ』(ヤフー刊)の選抜サポーターに抜擢され、2007年にライターデビュー。以降、フリーのレイルウェイ・ライターとして、『鉄道まるわかり』シリーズ(天夢人刊)、『論座』(朝日新聞社刊)、『bizSPA! フレッシュ』(扶桑社刊)などに執筆。著書に『波瀾万丈の車両』(アルファベータブックス刊)がある。また、好角家でもある。引き続き旅や鉄道などを中心に著作を続ける。