今、YouTubeに「教えて!イチロー先生」という動画が上がっていて、結構バズってます。この制作に携わらせていただき、現場で、イチローさんの近くでずっと見ていました。

 いろんな人の悩みにこたえていくというものなんですが、中でも、特におもしろかったのは、ある主婦が「イチロー先生は、感情をどうやっておさえていたんですか?」という悩みに対して、イチロー先生は言います。「感情的になったら絶対に負ける」と。だから試合でヒットを打ってうれしくても、喜んだりしないようにしていたと。うれしくても悔しくても試合中に感情を出さない方が、相手からすると「気持ち悪い」と言っていて。激しく感動してしまった。そこまで感情をコントロールして試合に臨んでいたのかと。

 この「感情的になったら負けだ」と言う言葉。イチロー選手が言うからとてつもない納得感があるわけです。この収録の日、イチロー選手の口から出る何げない言葉は金言だらけなのですが、それを見ていて、思いました。「言葉も人を選ぶんだよな」と。

 服は人を選ぶなんて言いますが、言葉だって人を選ぶんです。「肌感覚という言葉を使っていいのは天才だけ」なんじゃないか。

 改めて、自分は「肌感覚」と言う言葉を使うべきではなく、それ以外の言葉で表現しようとっ誓った日でした。一つ一つの言葉、自分に似合うか、考えて使っていこう。

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中

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鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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