「チームを活気付かせるには、元気者の羽月しかいなかったのだろう」と広島担当記者は続ける。

「スピードはチームトップクラス。また、いじられキャラでいつも笑顔を絶やさない羽月の周りは、自然と明るい雰囲気になる。実は同時に小園の1軍昇格も検討されたが見送られた。重苦しい雰囲気のチームに一石を投じるのなら、羽月しかいないという判断での昇格だった」

 広島入団直後の自主トレ時から、話題になったメガネ型拡大鏡のCMから『(羽月)ルーペ』と呼ばれ可愛がられた。そして今回、初の1軍ではムードメーカーとしてだけでなく、結果も残してみせた。

「羽月の活躍は小園への反発心も大きかったのでは」と語るのは広島2軍関係者だ。

「18年オフの高卒ドラフト5人組は普段から本当に仲が良い。でもグラウンドではライバル心がバチバチ。入団時から小園が注目されていたのが面白いわけがない。例えばコーチが小園にアドバイスしているのを、必ず側で聞いていて自分も試してみる。また小園に助言を求めるようなこともある。切磋琢磨して成長している良い関係性」

 1位・小園、3位・林晃汰(智弁和歌山)、4位・中神拓都(市岐阜商)、5位・田中法彦(菰野)そして、7位・羽月(神村学園)。小園の高校時代の実績は飛び抜けていたとはいえ、同じ歳としては悔しいはず。羽月の活躍にも影響はあっただろう。また逆にいえば、小園自身が複雑な思いをしていることも想像に難くない。

 小園は2軍戦でも結果が出ていない。昨年、1軍の猛者相手に存在感を見せてきただけに、いくら調整中とはいえ心配である。

「本人は野球が大好きで練習熱心。腐ったりする性格でもない。周囲はいろいろ言うけど、今は焦らずにじっくりやって欲しい。本人もわかっているだろうが、今後10年以上プロでやって行くのなら、ここでの数年が大事」(広島2軍関係者)

 広島を担う3拍子揃った内野手が誕生するには、もう少し時間がかかりそうだ。そのためには周囲の我慢も必要になってくる。低迷期を支え続けた広島ファンの愛があれば、小園は大きく羽ばたくはずだ。