そんな心優しい瀬戸だが、仕事に対する姿勢からも誠実さが見え隠れする。俳優の技術についてインタビューに答えた瀬戸は、短いスパンで泣けないと思っても、「そのときにどうやって気持ちを一瞬でピークまで持っていくかが僕たち俳優の仕事。そこにはきちんとした技術が必要で、もっと自分も磨いていかなくちゃなとは考えます」(「livedoor NEWS」2019年11月6日付)と語っている。また、一緒に仕事をしたい人の条件が仕事に対して真面目な人で、仕事に対して真面目な人が多い現場は空気が心地よく、モチベーションが上がるように感じるのだとか(「就職みらい研究所」2020年3月2日付)。

 誠実さや優しさが全面に出ているため、同じ世代の俳優たちに比べ、その活動も若干、控えめな印象もある瀬戸だが、今後はどう変わっていくのか。

「若い頃は同世代の俳優が賞をもらうのを『羨ましい』と思うこともあったそうですが、今は全くないとインタビューで話していましたね。ステップアップできるタイミングは人によってそれぞれ違い、自分は徐々に上がっていけばいいと割り切れるようになったそうです。そんなあまりガツガツせず、かつ誠実な人間性なので、結婚したことで人気が下降するというよりも、瀬戸に対してさらに信頼感を覚えた人は多いのではないでしょうか。演技力は確かですし、将来は共演者やスタッフから頼られる俳優として重宝されると思います」

 ドラマウォッチャーの中村裕一氏は、そんな瀬戸の魅力についてこう語る。

「俳優に年齢は関係ないと言いますが、それにしても32歳には見えない清潔感あふれるツルツルの肌の爽やかさが、なによりも目を引きます。一方で、Twitterで毎朝必ず挨拶を投稿する理由からは、人と人とのつながりを大切にし、常に礼儀正しく誠実で骨太な人柄がうかがえます。そのビューティな外見と骨のある内面とのギャップに惹かれる人がファンやスタッフ問わず、きっと多いのでしょう。映画やドラマでの活躍だけでなく、彼がホストを務め、さまざまなスイーツにまつわるエピソードやレシピを紹介するNHK Eテレの『グレーテルのかまど』は、2011年から続く隠れた名番組です。今はさまざまな役を演じながら演技の幅を広げている段階だと思いますが、家庭を持つことでさらに安定感が増し、ますます魅力的になっていくことは間違いありません。40代を迎えた時、どのような俳優になっているのか非常に楽しみです」

 出演中のドラマ「私の家政夫ナギサさん」は視聴率絶好調で「半沢直樹」を抜くのではとも。主演の多部未華子が「可愛い」と反響を呼んでいるが、瀬戸の存在も人気に一役買っているのは間違いないだろう。(丸山ひろし)

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丸山ひろし

丸山ひろし

埼玉県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集業務に従事。その後ライターに転身し、現在はウェブニュースや、エンタメ関連の記事を中心に執筆している。

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