■地域の診療所との連携が重要に

 石橋医師のチームはリエゾンサービスの実施により、薬物療法の継続率が8割を超えた。現在、日本全国でリエゾンサービスに熱心に取り組む施設は増えつつある。そのような施設では、導入後、治療継続率が向上しているようだ。

 ただし、リエゾンサービスには診療報酬がつかないため、ほぼ病院のボランティアで実施されている。現在、診療報酬が認められるように、関連の6学会の協力体制の構築やリエゾンサービス導入前後を比較して、有効性を立証するための研究が進んでおり、結果が注目されている。

 リエゾンサービスの円滑な運営のためには、地域の診療所との連携も重要だ。そんな地域の診療所として、骨粗鬆症の治療による骨折予防に力を入れているのが、金谷整形外科の金谷幸一医師だ。金谷医師のもとには、骨折後の薬物療法を受ける人のみならず、骨粗鬆症と診断された人、骨粗鬆症の治療を受けているが治療を継続すべきかどうかのセカンドオピニオンを求めて訪れる人もいる。

「骨粗鬆症と診断されても、骨折しないかぎり自覚症状はあまりないので、いろいろと薬を変えながら治療を続けていくことに疑心暗鬼になる人がいます。一度骨折した人でも、転院で治療が途切れるなど、治療の継続はなかなか難しいのが現状です」(金谷医師)

 そういう患者には、客観的な数値を示し、患者ごとに適している治療をわかりやすく説明して納得してもらって治療に入るという。また、金谷医師は、個々の患者の病状を考慮して、薬物療法を中断することもあるという。

「3~5年くらい治療して、骨密度の数値によっては、休薬する選択肢もあります。しかし、最近では薬の種類も多く、一つひとつの薬の性質に注意を払わないと急に骨密度が低下するような場合もあります。ネットの誤った情報も氾濫していますので、きちんと医師の意見を聞いてほしいと感じることも少なくありません」(同)

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