さまざまな種類がある骨粗鬆症の薬
さまざまな種類がある骨粗鬆症の薬
『新「名医」の最新治療2020』より
『新「名医」の最新治療2020』より

 年齢とともに骨の強度が弱くなる骨粗鬆症。放置すると、ちょっとした衝撃でも簡単に骨折してしまい、それが要介護の原因になることも多いため、治療が必要だ。週刊朝日ムック『新「名医」の最新治療2020』では、骨粗鬆症の治療法について、専門医に取材した。

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 骨粗鬆症の治療は、薬物療法、食事療法、運動療法をバランスよくおこなう必要がある。なかでも薬物療法は重要だ。

 骨は常に、骨を作る細胞(骨芽細胞)による「形成」と骨を壊す細胞(破骨細胞)による「吸収」をくり返して、新しい骨に生まれ変わっている。この「形成」と「吸収」のバランスが崩れると骨密度が低下し、骨はもろく、スカスカになる。

「骨粗鬆症の薬物療法には、大きく分けると、骨の吸収を抑制する薬と骨の形成を促進する薬、骨に足りない栄養素を補う薬があります。それらを症状に応じて使ってきました。加えて、最近新たに吸収抑制と形成促進の両方の役割を果たす薬が使えるようになりました」

 そう説明するのは、虎の門病院内分泌センター長の竹内靖博医師。新しい薬とは、2019年1月、海外に先駆けて保険承認となった、ロモソズマブだ。

「この薬はスクレロスチンという、骨の形成を抑制し、骨の吸収を促進してしまうたんぱく質の働きをブロックします。そのことで反対の作用を及ぼし、骨粗鬆症を改善する抗体薬です」(竹内医師)

 ロモソズマブは、効果の強い薬として、臨床現場の医師からは高く評価されている。だが、毎月1回、1年間にわたって皮下注射による投与が必要だ。作用の有効期間も12カ月と短い。

■別の薬に切り替えて 治療を継続することも

 骨粗鬆症の薬は、骨密度が上がるなど効果が認められても、継続して治療しないと、再び骨密度が低下してしまう場合が多い。ロモソズマブも同様のため、1年間の治療後は、別の薬にスイッチして治療を継続する必要がある。

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