鴻上尚史さん(撮影/写真部・小山幸佑)
鴻上尚史さん(撮影/写真部・小山幸佑)

写真は本文とは関係ありません(※イメージ写真/iStock)作家・演出家の鴻上尚史氏が、あなたのお悩みにおこたえします! 夫婦、家族、職場、学校、恋愛、友人、親戚、社会人サークル、孤独……。皆さまのお悩みをぜひ、ご投稿ください(https://publications.asahi.com/kokami/)。採用された方には、本連載にて鴻上尚史氏が心底真剣に、そしてポジティブにおこたえします
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作家・演出家の鴻上尚史氏が、あなたのお悩みにおこたえします! 夫婦、家族、職場、学校、恋愛、友人、親戚、社会人サークル、孤独……。皆さまのお悩みをぜひ、ご投稿ください(https://publications.asahi.com/kokami/)。採用された方には、本連載にて鴻上尚史氏が心底真剣に、そしてポジティブにおこたえします

 自分の価値観を相手に押し付けてきた実母・祖母に猛反抗を繰り返してきたという31歳女性。妊娠し、自分も我が子を苦しめるようになるのではと不安視する相談者に、鴻上尚史が「負の遺産は断ち切れる」と断言した根拠とは。

【相談77】実母、祖母は、世話焼きな反面、自分の価値観だけで物事を判断し、相手に押し付ける悪癖があります(31歳 女性 セナ)

 鴻上さん、こんにちは。ひとつ、私からも相談させていただけたら幸いです。

 私の実母・祖母は健在ですが、お世話焼きな反面、自分の価値観だけで物事を判断し、相手に押し付ける悪癖があります。私は小さい頃から、友達付き合い、趣味、就職結婚にいたるまで母に口を出され続けてきました(内容が理不尽で、「(母親が気に入らない子供に対し)あの子とは友達付き合いするな」「この業界に就職しろ」「この大学の人と結婚しろ」等)。私は猛反抗を繰り返し、家を飛び出して母の意に反する就職・結婚をしましたので、母に人生を左右されたとは思っていません。母は自分が口うるさい祖母からそう育てられたのと同じように、娘に接したに過ぎません。

 さて、今年、私は長い間の病気が完治して妊娠が判明しました。お腹の子はおそらく女の子だとの診断でした。初めての我が子と会えるのが楽しみですが、同時に強く不安になります。それは、私も母・祖母のようになるのではないか? よかれと思ってしたことが子供を縛り付けてしまうのでは?という不安です。私は負けん気が強かったため母にことごとく反抗できたのですが、私の妹は気が弱くて、独立するまで母の言うとおりに生きていたのです。妹はもう母から離れられたのに、泣きながら恨みつらみを私に電話してきます。

 現在、祖母は母から疎遠にされ、その母自身は娘二人から同じように距離を置かれています。私も将来、因果のように娘を苦しめて、子供から見放されるのでは?と根拠なく考えてしまいます。私はこれから生まれる我が子に何を意識して接したらいいのでしょうか。この不安にどう立ち向かったらいいのでしょうか。

 なにとぞよろしくお願いいたします。

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鴻上尚史

鴻上尚史

鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)/作家・演出家。1958年、愛媛県生まれ。早稲田大学卒。在学中に劇団「第三舞台」を旗揚げ。94年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞受賞、2010年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲賞。現在は、「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」を中心に脚本、演出を手掛ける。近著に『「空気」を読んでも従わない~生き苦しさからラクになる 』(岩波ジュニア新書)、『ドン・キホーテ走る』(論創社)、また本連載を書籍にした『鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』がある。Twitter(@KOKAMIShoji)も随時更新中

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