左から三浦春馬、柳楽優弥。2人はよき“ライバル”だったという(C)朝日新聞社
左から三浦春馬、柳楽優弥。2人はよき“ライバル”だったという(C)朝日新聞社

 今年の夏もテレビでは、先の戦争にちなんだ番組が頻繁に放送されている。なかでも注目度の高いのが、NHKの特集ドラマ「太陽の子」(8月15日放送)だろう。柳楽優弥が演じる主人公は、戦時下で核エネルギーの研究をした科学者。その弟にあたる軍人を、7月18日に急逝した三浦春馬が演じている。

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 8月8日に放送された「土曜スタジオパーク」では、柳楽とヒロインの有村架純がゲスト出演。生前に収録された三浦のインタビューも流れた。三浦が自殺未遂をする役でもあったことから、柳楽は涙をこらえつつ撮影を振り返っていた。

 三浦の死については、数多くの芸能人が追悼の思いをあらわした。なかでも記憶に残ったのが映画「コンフィデンスマンJP」シリーズで共演した小日向文世だ。死の3日後、同作(プリンセス編)の宣伝も兼ねて「ノンストップ!」(フジテレビ系)に出演。印象深い共演者について聞かれると、真っ先に三浦の名を挙げ、言葉を詰まらせていた。

 小日向は三浦から「何があっても包んでくれる方」(ロマンス編パンフレットより)と慕われており、そんな後輩の早世にやりきれない気持ちなのだろう。

 前出の柳楽の場合は、それとはまた異なる思いが見てとれる。というのも、彼は三浦と生年月日が10日しか違わず、学年こそひとつ上だが、同世代なのだ。しかも、ともに若くしてデビュー。ただし、柳楽いわく「春馬くんは子役のオーディションでも、ガッツリ取っていく」存在で、三浦がいると会場全体に「ダメだ?!」という空気が流れたという。

「僕だけじゃなくて 、同年代のみんながそう思ってましたね。同じ高校に行きましたが、一言もしゃべらず。超ライバル視していたので(笑)」(映画情報サイト・ムビッチ)

 たしかに、三浦は7歳で朝ドラ「あぐり」、その6年後には大河ドラマ「武蔵 MUSASHI」に出演したエリート子役。だが、早熟ぶりでは柳楽も負けていない。12歳のとき、初めて臨んだオーディションで映画「誰も知らない」の主役を射止め、2年後、この作品でカンヌ国際映画祭の最優秀主演男優賞を受けた。本格的ブレークはこちらのほうが早かったのだ。

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宝泉薫

宝泉薫

1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など

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柳楽優弥は18歳で「自殺未遂」騒動