ここで中京大中京は、エース・堂林翔太(現・広島)に代えて、森本隼平をリリーフに送ったが、5番・高橋義人もファウルで粘り、四球で満塁。そして、6番のエース・伊藤直輝の三遊間タイムリーで、2人目の走者も本塁クロスプレーの末、セーフとなり、8対10。

「つないだ!つないだ!日本文理の夏はまだ終わらない!」という朝日放送・小縣裕介アナの名実況が飛び出したのは、このシーンの直後だった。

 日本文理はさらに代打・石塚雅俊の左前タイムリーで1点差まで迫るが、若林のあわや同点タイムリーを思わせる三塁への猛ライナーが、河合完治のグラブに収まった瞬間、彼らの劇的な夏は、ついに幕を閉じた。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2019」(野球文明叢書)。

著者プロフィールを見る
久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

久保田龍雄の記事一覧はこちら