冒頭にご紹介した方も、在宅勤務の増加による体力不足や運動不足、気温の急激な変化による負担の増加、炎天下でのマスク着用などにより、熱中症の初期症状を引き起こしてしまったと考えられます。

 気温や湿度が高い中でマスクを着用していると熱中症のリスクが高くなる恐れがあるとして、屋外で人との距離が2メートル以上ある場合などは適宜マスクを外すことを環境省は推奨していますが、街中ではほとんどの方がマスクを着用されています。私も通勤時にマスクを着用していますが、蒸し風呂にでも入っているような感覚に襲われ、息苦しさを覚えずにはいられません。

 今年の夏の気温は全国的に平年並みか平年より高く、厳しい暑さとなる見込みだと予想されています。こまめな水分補給や適度な塩分補給、適度に運動をして体力維持や暑さへの慣れ、しっかりとした睡眠や栄養が熱中症対策に繋がります。ひいては、新型コロナウイルス対策にも繋がります。例年以上に、熱中症対策に注意してくださいね。

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山本佳奈

山本佳奈

山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。医学博士。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。2022年東京大学大学院医学系研究科修了。ナビタスクリニック(立川)内科医、よしのぶクリニック(鹿児島)非常勤医師、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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