甲子園の人気を支えるアルプススタンドでの応援 (c)朝日新聞社
甲子園の人気を支えるアルプススタンドでの応援 (c)朝日新聞社

 近年、高校野球の人気を支えているものの一つに各校がスタンドで披露する応援曲がある。最も有名なものは智弁和歌山(和歌山)の「ジョックロック」。これまで劇的な逆転や、ビッグイニングを生み出したことなどから甲子園ファンの間では魔曲として知られている。

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 最近では、2年前の第100回大会で旋風を巻き起こした金足農業(秋田)が応援曲として使用していた「タイガーラグ」もファンから魔曲と呼ばれている。秋田県の高校が伝統的に使用している曲だが、準々決勝の近江戦、逆転サヨナラ2ランスクイズの場面で演奏されていたことを覚えているファンも多いだろう。昨年も「タイガーラグ」を使用した中京学院大中京(岐阜)が劇的な逆転勝利を収めたことで、より魔曲としてのイメージが付いた。

 この他にも龍谷大平安(京都)の「怪しいボレロ」や、天理(奈良)の「ワッショイ」などが魔曲として有名だが、今回は新たに甲子園の“魔曲リスト”に入りそうな応援曲を紹介したいと思う。

 まず、最初に思い浮かぶのが広陵(広島)の「チアソング」だ。第99回大会で準優勝した広陵のオリジナル曲で、同大会で話題を独り占めにした中村奨成の打席でよく流れていたのが印象深い。スタンドで応援する生徒らがスクールカラーのタオルを振る姿にも迫力があり、相手チームを飲み込むような雰囲気を醸し出す。4度の準優勝があるものの、夏の全国制覇がない同校が頂点に立つようなことがあれば、「チアソング」も魔曲として認定されるだろう。

 続いて、紹介したいのは近江(滋賀)の「Fire Ball」。第100回大会では、“金農フィーバー”の引き立て役となってしまったが、あの試合(準々決勝)で逃げ切り、勝利を収めていれば「タイガーラグ」ではなく、近江の「Fire Ball」が魔曲として有名になっていたかもしれない。原曲は米国のラッパー・ピットブルのヒット曲。ラップソングを応援に取り入れるあたりセンスも感じられ、すでに「近江のFire Ballが好き」というファンも全国的に存在する。甲子園に映えるサックスブルーのユニフォームとともに、今や近江の代名詞的な存在である。

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新興勢力の高校の応援では?