■マーカス・ラッシュフォード(22歳:マンチェスター・ユナイテッド/イングランド代表)

2016年に名門マンチェスター・ユナイテッドで2試合連続で2ゴールという衝撃的なデビューを果たすと、現在まで着実に成長を続けている。特に今シーズンは、負傷を抱えながらもプレミアリーグ31試合で17ゴールを記録。その圧倒的なスピードに得点力、強烈なシュート、弾丸のようなFKは、先輩であるC・ロナウドを彷彿とさせるパフォーマンスだ。

とりわけビッグマッチに強く、対チェルシーは5ゴール(11試合)、対マンチェスター・シティは4ゴール(8試合)、対リヴァプールは3ゴール(7試合)と、国内ライバル相手の試合では無類の強さを誇る。サンチョ同様にイングランド代表でも主力を担い、国民の期待を背負うストライカーである。

またピッチ外の振る舞いも模範的である。貧しい家庭で育ったラッシュフォードは、コロナ禍に伴うロックダウンの中で7月に終了する予定だった政府の無料学校給食制度の継続を訴え、下院議員宛に公開書簡を発表。ボリス・ジョンソン首相とも直々に電話で会談した。その後政府は方針を変え、制度の継続を決めている。自らの行動で政治を動かした彼には、マンチェスター大学から最年少の名誉博士号が授与されている。ピッチ内外で強い意志を持つラッシュフォードは、フットボール界だけでなくイングランド全体のアイコンというべき存在になっていくのかもしれない。

■ジャンルイジ・ドンナルンマ(21歳:ミラン/イタリア代表)

デビューからすでに5年経ったこと、またその風貌からすでに20代後半のような雰囲気を醸し出しているが、まだ21歳であることを忘れてはならない。すでにミランでは公式戦200試合以上でゴールマウスを守っており、イタリア代表としても正守護神に定着した。

GKとしてのイタリア代表最年少デビュー(17歳6カ月)やセリエA最年少で100試合出場(19歳49日)など、同じく「ジャンルイジ」の名を持つ偉大なGKブッフォンの記録を次々に更新。その大先輩からも「彼が適任」と後継者に指名された。規格外のフィジカルや驚異的なショットストップだけでなく、イタリアのファンやメディアからの激しいプレッシャーなど意に介さない強靭なメンタリティを持ち合わせている。

GKというポジションでバロンドールを受賞したのは、旧ソ連の伝説的なGKレフ・ヤシンのみ。そして昨年からはバロンドールのGK版として、そのレジェンドの名を冠した「ヤシン・トロフィー」が設立されている。このままミラン、イタリア代表で順調な成長を続けていけば、彼がこの賞を手にすることは想像に難くない。

(文・三上凌平)