税率はこの課税所得の金額により変わります。


 
 たとえば年収500万円で扶養家族なしでは、ざっくり計算すると課税所得はおおよそ250万円程度で、この金額の場合の税率は10%です。実際の計算では10%をかけた数字から9万7500円が控除となるので、税額は約15万円になります(各種控除などにより同じ年収でも課税所得や税額は異なる場合があります)。

 この条件でもし50万円の医療費控除があった場合は、税率が10%なので5万円が戻ってくることになります。15万円だった所得税が10万円になるわけです。課税所得が330万円超~695万円の人なら税率20%なので、10万円戻ってきます。(医療費控除により、課税所得額が減り税率が変わる場合もあります。また最終的な納税額には復興特別所得税が加算されます)

■「確定申告」が必要とはいえ、特別な知識は全く不要

 実際に所得税を還付してもらう手続きについて、説明します。この申請には税務署での「確定申告」が必要です。自営業者やフリーランスの人が毎年行っている、税額を決定するための申告です。サラリーマンの多くが未経験の確定申告ですが、医療費控除の申請では、自営業者が行っているような収支の細かい計算や簿記の知識は全く必要ない簡単なものなので心配は無用です。

必要な書類は以下のものです。
・医療費の領収書
・給与の源泉徴収票
・医療費控除の明細書
・確定申告書A
・マイナンバーなどの本人確認書類

 領収書に記載された医療機関などの名称や支払った金額を医療費控除の明細書に記載します。領収書がない交通費などは、自分で手帳などにその都度、記録しておく必要があります。

 医療費控除の明細書と確定申告書は国税庁のサイトからダウンロードして印刷するか税務署の窓口で入手できます。書類の書き方については、管轄の税務署に電話で相談の申し込みをすることも可能です。提出書類を税務署に提出すれば、一定期間の審査の後、指定した口座に医療費控除分が振り込まれます。

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セルフメディケーション税制とは?