プロ志望ならドラ1候補だったが、プロで苦労した01年組の前例から学校側が高卒即プロ入りを推奨しなかったなどの事情で、チームメートの高山俊(現阪神)、横尾俊建(現日本ハム)らとともに六大学へ。

 早大1年春に4勝0敗の好成績でリーグ優勝と大学日本一に貢献。だが、その後は理想を高く追い求めるあまり、フォームを見失い、大学通算11勝10敗と伸び悩んだ。15年のドラフトで、高山と横尾が指名を受けるなか、プロ志望届を出さなかった吉永は、JR東日本で「2年後の指名」を目指した。

 ところが、2年目に野手との二刀流に挑戦した直後、走塁で右肩と靭帯を痛める重傷を負い、手術。1年間のリハビリを経て、投手復帰を目指したが、昨夏の都市対抗でも登板機会のないまま、12月に26歳でユニホームを脱いだ。

 高校の時点でプロ入りすることが必ずしも最良の選択とは言えないが、「高校時代が最大のチャンスだった」例もけっして少なくないことがわかる。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2019」(野球文明叢書)。

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久保田龍雄

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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