阪神の中心になれるかは首脳陣の使い方次第」

 阪神OBは今後の起用法が大山の未来を大きく左右すると語る。

「打撃が大好きで自信を持っている選手なので、結果が出ている間は気分良く野球に臨むことができる。今は調子が良いが必ず、打てない時期もやってくる。この時に我慢して使えるかどうか。4番を外さないで使い続ければ、大化けする可能性は大きい。経験が選手を育てるのは、巨人岡本和真を見ればわかる。大山の場合、昨年の起用方法を見る限り、まだ信用されていないからどうなるか」

 巨人前監督・高橋由伸は、打てなくとも岡本を試合で起用した。在任中、チームは低迷したが現在首位を走るチームの4番は岡本。結果論になるが、高橋の眼力と忍耐力が育てたと言っても過言ではない。

「守備位置はどこでも良いから、4番だけは外さない。1試合を通じて4~5打席は必ず打たせる。守備でミスをしても打って返せ、くらいの気持ちを持って起用し続ける。矢野燿大監督にできるかどうかやね」

 昨年にようにチーム状況が悪いからと言って4番を外しているようでは同じことの繰り返しだ。

「試合に出るのは賛成だが、悪影響を及ぼす危険性もある」

 大山を試合に出すため守備の基本陣形すら決まらなくなる、とは阪神担当記者。

「今は打線も打てているが、調子が落ちればどうしても1発の魅力がある外国人優先になる。大山は器用な選手で内外野すべてをこなせる。守備位置が重なった場合、普段やっていない外野などをやらせることにもなる。7月1日の試合では当時不調だったの近本光司の代わりに、公式戦初となる中堅の守備位置についた。オープン戦ではない、と阪神OB中心に批判が巻き起こったほど」

『センターライン』と呼ばれる守備の骨子を守らせたのは、確かに驚きであった。今後もこのようなスクランブルが起こりうるのだろうか。また、慣れない守備位置でミスした場合、性格的に打撃に影響が及ぶ可能性も考えられる。

 昨年9月16日DeNA戦、1イニング2発を含む6打数6安打3本塁打7打点。ハマった時の爆発力は魅力であり、打線の中心として賭けてみたいのは誰もが思うことだ。

 例年通り一時期の好調だけで終われば、これまで同様の起用方法になる。そして頂点を目指す阪神の戦い方にもブレが生じる。

 大山が覚醒したかはまだわからない。しかしそうならなければ「阪神の未来がない」というのも確か。打ち続け結果を残すしかない。その先には固定されたレギュラーポジションがあり、チームの戦い方も必然的に決まってくる。