※写真はイメージです(GettyImages)
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カップルカウンセラーの西澤寿樹さんが夫婦間で起きがちな問題を紐解く本連載。今回のテーマは「在宅勤務で気づく夫婦のすれ違い」です。
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【コロナ禍テレワーク版共働きの家事育児100タスク】

 残念ながら、どうも新型コロナの第二波が、やってきているようです。「新しい生活様式」は、なかなかのストイックさを求められるので、難渋している方も少なくないのではないでしょうか。そうは言っても、これだけ急に人々の生活様式が変わるということはあまりないことです。

 こういう時に、今まで見えなかったことが見えてきたりすることがよくあります。有名な話では、アメリカではオイルショックの時にハイウェーに速度制限を導入したところ、目に見えて死亡事故が減ったことで因果関係が鮮やかになりました。

 コロナ禍で、大学で録画授業が続くと、高校の時に通っていたビデオ予備校のデジャブーの気がしてもおかしくありません。この録画授業に適応して、ゲームをしながら聞いていたり、早送りで聞いていたりする大学生が少なくないらしいのですが、これなら実習科目以外は動画でいいじゃん、という気分になる人も出てきます。動画という観点からすれば、大学の先生よりもよほど効率的に教えられるYouTuberは結構いますから、そうなると苦労して入学する大学の意味は何なのだろうと本質的なことに目が向いて悩んでしまったりします。

 会社って行くもんだと単純に思っていたのが、在宅リモートワークになって、家でも仕事ってできるんだ、というのも気づきですが、逆に通勤時間入れても会社で仕事したほうが効率いいと気づく方もいると思います。そうなると、会社に行くことの本質は、生活環境との隔離ということになります。

 人は大きく揺さぶられると、新しい環境に適応しようと精一杯頑張る側面と、本質的なことに気づきやすくなる側面があるようです。

 直美さん(仮名、40代、事務職)は、夫の一昭さん(仮名、40代、管理職)が家にいない(帰宅が深夜になり、土日は疲れて寝てるかゴルフに行ってしまう)のが不満でした。

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西澤寿樹

西澤寿樹

西澤寿樹(にしざわ・としき)/1964年、長野県生まれ。臨床心理士、カウンセラー。女性と夫婦のためのカウンセリングルーム「@はあと・くりにっく」(東京・渋谷)で多くのカップルから相談を受ける。経営者、医療関係者、アーティスト等のクライアントを多く抱える。 慶應義塾大学経営管理研究科修士課程修了、青山学院大学大学院文学研究科心理学専攻博士後期課程単位取得退学。戦略コンサルティング会社、証券会社勤務を経て現職

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「彼が、もう少し家にいてくれれば……」