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大学・大学院で広がる「二重専攻」 AIと専門分野を合わせて学ぶ

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国際基督教大学ヘザー・モンゴメリ学修・教育センター副センター長は教養学部アーツ・サイエンス学科教授で、金融・ファイナンスが専門(写真提供/国際基督教大学)

国際基督教大学ヘザー・モンゴメリ学修・教育センター副センター長は教養学部アーツ・サイエンス学科教授で、金融・ファイナンスが専門(写真提供/国際基督教大学)

 AIを使った新しいビジネスのアイデアを出すグループワークや、起業して活躍している人などの講演を聞く機会も用意されている。

 これらの運営資金は会員企業の協賛金で賄う。学生講師やTAには謝金を支払い、ウェブサイトやサーバーの管理、システム構築、広報なども多くの学生アルバイトが支えている。

「好きでやっている学生のほうが教員よりも最新のAIを使いこなせるので、初心者から中級、ある程度の上級者までは学生が教えるほうが向いています」と伊藤教授は手応えを感じている。この方式を湘南藤沢や信濃町の他キャンパスはもとより、興味を持つほかの大学にも広げたいという。

 多種多様なビッグデータを処理し、その情報に基づいて判断ができるAIは、デジタル社会の基本的なツールとなるはずだ。専門分野を持ちながらAIやデータサイエンスにも通じることで視野が広がり、新たな気づきも生まれる。大学院や大学の教育プログラムがより充実したものになれば、「AI×専門分野」を自分のものにするチャンスが増えることは間違いない。

 国際基督教大学(ICU)は、日本でダブルメジャー制度を実施している数少ない大学だ。そのベースにあるのはリベラルアーツ教育だ。文系・理系といった枠組みを超えて幅広い知識を持ち、自由な発想と批判的思考を持つ人間に成長することを重視する。

 米国にはリベラルアーツ・カレッジが各地にある。ICUもその流れをくみ、メジャーの数は31におよび、4年間全メジャーの授業を自由に履修できる。学修・教育センターのヘザー・モンゴメリ副センター長は「アメリカではダブルメジャーが珍しくなく、多くの大学にある制度です」と話す。

 情報科学と経済学をダブルメジャーとして専修した卒業生は、大量のデータを分析し、ミクロ経済学の理論と組み合わせて最適な出店計画を卒論にまとめた。情報科学と経営学を専修して仕事に役立てている人もいる。

「専修分野によって研究方法も世界を見る視点も違うので、二つの分野を深く学んで理解することは、学生にはプラスになると思います。ダブルメジャーの学生の3分の1以上は大学院に進みます」

 ただダブルメジャーの学生は3%弱で、メジャーマイナー(主専攻+副専攻)と合わせても4分の1程度。多くの学生はシングルメジャーだ。モンゴメリ副センター長はその理由をこう説明する。

「ダブルメジャーでも、シングルメジャーでも卒業に必要な総単位数は同じですが、ダブルメジャーは二つの分野で基礎科目から専攻科目へと学びを進める難しさがあります。入学時は、ダブルメジャーにも興味がある学生が多いのですが、ある科目を履修するには事前に別の科目の履修が求められるなど、要件を一つずつクリアする必要があり、計画的な履修が求められるので大変なのです」

 こうした点を踏まえ、ICUでは履修計画を作成するための学生へのサポート体制が充実している。一人ひとりにアドバイザーとなる教員がつき、履修科目などの相談を受ける。学習支援をする専任の職員が常駐し、先輩の学生によるアドバイス制度もある。ダブルメジャーの導入を考える上で学ぶべきことは多い。

(文/福永一彦)

※AERAムック「大学院・通信制大学2021」から


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