ここでも、親が、「なぜコレをやるのか」という理由を説明できるかどうかによって、宿題への向き合い方が違ってくるかと思いますが……あまりに基本である読み書きの段階なので、「識字率を高める」といっても理解できないでしょうし、いまいちうまく説明できません。「ゲームや本の字を自分で読めるようになるよ!」と言っても「ママが読んでくれれば大丈夫」と返されますし、「書くたびにどんどん字が上手になっていくね」という賞賛の言葉をかけても、「そうだね」と言うだけで興味なさそうです。「宿題をやって賢くなれば、将来お金持ちになれて、ライダーのおもちゃが買い放題になるよ!」「コンビニのお菓子も食べ放題になるね!」と、息子の物欲を刺激したときは少しだけ反応しましたが、そこまで響かない様子。しかもつい先日、小1のくせに、土日のことを、「やっと自由な日だ」などと言い出し……なんとなく近い将来、勉強が面倒になってやらなくなる日がくる、そんな嫌な予感もしています。

 そういえば元野球選手のイチローが、どうして宿題をやらなくてはいけないのかという問いに対し、「将来、嫌なことをやらねばならない時に、がまんしてやるための訓練になる」と答えていて、なるほど、と思いました。次の手段として、ファンになるまでイチローさんの動画を見せまくり、「尊敬するイチローさんのようになるために宿題をやろう」と思わせる作戦にもっていこうかな、と考えています。

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杉山奈津子

杉山奈津子

杉山奈津子(すぎやま・なつこ) 1982年、静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業後、うつによりしばらく実家で休養。厚生労働省管轄医療財団勤務を経て、現在、講演・執筆など医療の啓発活動に努める。1児の母。著書に『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』『偏差値29でも東大に合格できた! 「捨てる」記憶術』『「うつ」と上手につきあう本 少しずつ、ゆっくりと元気になるヒント』など。ツイッターのアカウントは@suginat

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