科目により伸びる能力は異なりますが、「勉強をすること」それ自体にも、意味を見つけられます。受験勉強なら、「自分の弱点はどこか」を洗い出し、今一番やるべきことは何かを考える能力が鍛えられます。そして受験まであと何日で、それまでに問題集を何冊やる、と決めることでスケジュールをたてる力がつきます。大学に合格するという目標を見すえて、テレビを見るというような「一時的にやりたいこと」をがまんするというような、ロングスパンで大切なことを見極める判断力もついてきます。

 ただ、私がこのように勉強する意義を見つけられるようになったのが、勉強を俯瞰して見られるようになった大学生以降のころだったことを考えると、同じように「何のために勉強するのか」に対して答えを持たないまま授業を受けている学生は、実のところかなり多いのではないかという気がしています。勉強が楽しければ別ですが、もし苦痛である場合、動機がなければやる気はどんどん落ちていくでしょうし、そのせいでさらに勉強がわからなくなって嫌いになるというループにはまります。

 ともすれば、私たち親が「勉強する理由を説明できる」ということが、なかなか勉強をする気が出てこない子どもに向き合うために必要だといえるでしょう。もし子どもが、「何で勉強するの?」と聞いてきたとき。「そんなこと言ってないで、いいから勉強しなさい」とか、「学校は勉強するところだから」なんて返事をしていてはますます、子どもたちからやる気を失わせるだけです。もし、国語や数学の問題を解くことで伸ばせる能力や長期的に勉強することで高められる力、将来的なメリットを具体的に説明できれば、きっとモチベーションを上げることができるでしょう。

 小学1年生になる私の息子は、現在、学校から毎日プリントをやるよう宿題を出されています。内容は毎回、見本を見ながらひたすら同じ平仮名を書く、というものです。ある日は「ち」を20回書き、ある日は「わ」を20回書く……本当にとにかくそれだけの作業なので、おもしろさを見いだすのは難しいな、と悩んでいます。

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