一方のリリーフ投手では17人中半数の8人が5年目以降に基準をクリアしている。田中靖洋や山田修義のように10年過ぎてから主力となった例は稀だが、1位指名だった藤川も7年目に本格化してその後球界を代表する投手になったということを考えると、ある程度の時間をかけて成長していくことも重要だと考えられる。

 以上のことを考えると、佐々木、奥川の二人は完成度を考えても2年目か3年目に先発として抜擢するというのが妥当ではないだろうか。田中将大や松坂大輔(西武)のように1年目からエース級となった投手もいるが、それを望むと短命で終わるリスクはどうしても出てくる。今年はしっかりと鍛えて、来年以降の本格デビューに期待したい。(文・西尾典文)

●西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

著者プロフィールを見る
西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

西尾典文の記事一覧はこちら