浅田秀夫医師(左)と渡辺大輔医師(右)
浅田秀夫医師(左)と渡辺大輔医師(右)
帯状疱疹の経過(週刊朝日2020年7月31日号より)さまざまな病気に関して、週刊朝日ムックで独自に調査をおこない、手術数の一部を特設サイトで無料公開している。「手術数でわかるいい病院」
帯状疱疹の経過(週刊朝日2020年7月31日号より)さまざまな病気に関して、週刊朝日ムックで独自に調査をおこない、手術数の一部を特設サイトで無料公開している。「手術数でわかるいい病院」
帯状疱疹のデータ(週刊朝日2020年7月31日号より)さまざまな病気に関して、週刊朝日ムックで独自に調査をおこない、手術数の一部を特設サイトで無料公開している。「手術数でわかるいい病院」
帯状疱疹のデータ(週刊朝日2020年7月31日号より)さまざまな病気に関して、週刊朝日ムックで独自に調査をおこない、手術数の一部を特設サイトで無料公開している。「手術数でわかるいい病院」

 80歳までに3人に1人がかかると推定されている帯状疱疹。夜も眠れないような痛みに悩まされる人もいるが、発症から早期に治療を受けるほど、治りやすい。最近はワクチンによって、予防も可能だ。

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 帯状疱疹は高齢者に多く発症し、患者数は増加傾向にある。からだの左右どちらかに帯状に水ぶくれを伴う発疹が出るのが特徴で、発疹が出る数日前から痛みを感じることが多い。

 原因は「水痘・帯状疱疹ウイルス」の感染だ。初めて感染したときには、水痘(水ぼうそう)として発症するが、このときにウイルスが神経節にも運ばれ、潜伏感染する。潜伏していたウイルスがなんらかの原因で再活性化すると、帯状疱疹を発症する。

 このため、治療の中心となるのが、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬だ。従来「ファムシクロビル」「バラシクロビル」「アシクロビル」といった抗ウイルス薬が使用されてきたが、2017年に「アメナメビル」が登場し、治療が大きく変わった。

 奈良県立医科大学病院皮膚科教授の浅田秀夫医師はこう話す。

「従来の抗ウイルス薬は、腎臓から排泄されるタイプの薬だったので、特に高齢者では腎機能を検査し、それに応じた用量の調整が必要でした。腎機能がよくないと薬の減量が必要で、副作用の面でも効果の面でも不安を感じることがしばしばありました。一方アメナメビルは、腎臓に負担がかからないので用量の調節が不要です。1日1回の服用ですむこともあり、第一選択として使用するケースが増えています」

 抗ウイルス薬は、ウイルスの増殖を防ぐ薬であり、現時点で活性化しているウイルスに効くわけではない。このため、症状が軽減するまでに2日以上かかることもある。

 ウイルスの増殖を防ぐために、できるだけ早く服用を開始することが大切だ。抗ウイルス薬は、早期に服用するほど、効果が高い。

「理想は発疹が出てから3日以内に服用すること。けれども実際に3日以内に服用を開始できているのは、半分にも満たないのが現状です。痛みが出たら皮膚をよく観察し、発疹に気づいたらすぐに皮膚科を受診してください」(浅田医師)

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痛みを長引かせない治療のカギとは