「同様に今年も開幕から結果を残したのだが……。故障してないだけで試合に出ていないのは去年と同じ」

 開幕3戦目にはスタメンを外れた。昨年と異なり健康状態に問題はないが、結果を残せていない。スタメンで出場できなくなり、レギュラーから遠い立ち位置となった。

「強い選手じゃないとレギュラーとして使うのは怖い」

 巨人OBは原辰徳監督の悩みを代弁してくれた。

「若くてイキの良い野手が出始めている。粗削りではあるが、スピードや思い切りの部分では横一線。吉川は1軍帯同経験があるとはいえ、そこまで大きな差はない。ならばケガや故障の心配がある選手より、タフで強い選手を使いたい。『1番セカンド』を任せられる実力があれば、目をつぶってでも使う。でも下位打線で使うレベルなら、他の選手を起用するのもわかる」

 開幕3戦目からは増田大輝、北村拓己、湯浅大、若林晃弘が先発の二塁手として起用されている。現状はレギュラーを1人に絞るのではなく、調子が良い選手を選ぶことでチームはうまく回っている。

「近未来のチーム編成にも大きな影響を及ぼす」

 巨人担当記者は、吉川の誤算がチーム編成を左右し始めていると語る。

「センターラインを任せられると踏んで1位指名で獲得した。実力は文句ないが故障は誤算だった。本来は二塁手から始めて、のちは遊撃手にしたかった。チームの顔・坂本勇人を三塁手にコンバートすることで負担を減らせる。その間に若手の二塁手を育て上げる。吉川が1年通じて使えないとなると、すべてが狂ってしまう」

 一塁手・岡本和真、二塁手・若手の台頭、三塁手・坂本、遊撃手・吉川。歴史に名を刻める内野陣を構成する青写真はできていたのだが……。

「原監督は今年だけでなく、中長期でチーム強化を考えている。シーズン中にも関わらず、積極的に補強に動いているが、同時に近未来も見据えている。当初は若手の成長に期待していたが、吉川がこのままならば方向転換せざるを得ない。ヤクルト山田哲人という大物がオフのFA市場には出てくる。こうなると絶対欲しい選手のはず」(巨人担当記者)

 監督としてチームに足りないものをリアルタイムで把握している。選手強化の権限も与えられている原監督は、オフの補強まで視野に入れているはずだ。

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吉川の活躍が巨人の未来を大きく変える?