「反省している」と話した妹尾さん
「反省している」と話した妹尾さん
三浦さんの意味深なツイッター画面
三浦さんの意味深なツイッター画面

 7月18日に三浦春馬さんが亡くなられてから、『俳優・三浦春馬(30)自宅で死亡。死因は自殺』といった文字をワイドショーやネットニュースで何度も見かけた。でも、いまいち実感が湧かないというか、どういうことだか分からない。正直なところ勝手ながらも「どうしてあなたが?」と思ってしまった。少なくとも、私にとっては「死」のイメージを感じさせない方だったから。

【画像】三浦さんがツイッターにアップしていた意味深なメッセージ

 ネット上では「誹謗中傷が原因ではないか」という記事や臆測が飛び交っているが、もしも、本当にそうだとしたら「またか」という絶望感とともに、”匿名性”に対して、やり場のない怒りを感じてしまう。テラスハウスに出演していた木村花さんや元KARAのク・ハラさんも、生前にSNS上で誹謗中傷されていたことを考えると、匿名性を逆手に取り、安全圏から言葉の刃物を投げる人たちのことはやはり許しがたい。

 私は物理的な暴力よりも言葉の暴力の方が危険性を秘めていると思う。前者と後者の決定的な違いは、暴力を振るわれた側のダメージが可視化できるかどうかというところだ。物理的な暴力は、その最中に相手がどれほどの傷を負っているかが目に見えるので、認識とその限度を考える余地はあるが、後者はなかなか外傷が見受けられず、いつまでも殴り続けてしまう可能性がある。それも不特定多数の手によってだ。同様に周囲の人間も言葉の暴力を受けている人の傷の深さに気がつくことは難しい。

 その上、匿名での言葉の暴力は相手の素性が全く見えないので、子どもがほんの出来心から書き込んでしまったものだとしても、言われた側はその言葉をダイレクトに受け取り、非難として受け止めてしまう。また、私の知人のインフルエンサーが匿名でしつこく誹謗中傷をする複数のアカウントに対して、開示請求を行ったのだが、その内のいくつかは同一人物によるものだった。一人の人間が複数を装い、まるで大勢の意見であるかのように言葉の暴力を投げつけていたのだ。

 私自身も、18歳からコラムニストとして活動を始めて以降、「死ね」や「ブス」といった言葉をSNS上で投げつけられたことは100回以上ある。だけど、そういった言葉を現実世界で投げつけられたことは一度もない。誹謗中傷をする人たちは私たちと同じ社会の中で、いたって普通な顔をして、ごく身近に存在しているのだと思う。

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